第109話 ただの草に魔力を込める実験
自室に戻って来た。
夜錬開始と言ったところだね。
まずは回復魔法のおさらいから行こう。
マジックバッグからナイフを取り出し、浄化の魔法をかける。
……ふぅ、やっぱこえぇよ。
自分でザックリ行くのはやはり躊躇してしまうね……
でもまぁ、回復魔法を実戦で運用できるようにするためには練習が必要だ……覚悟を決めて、さぁ!
「クッ! やっぱ、いでぇ……」
そばに誰もいないと思えば、自然と情けない声が漏れてしまう……
そんなことを思いながら回復魔法で手の傷を修復させていく。
そうして1時間ほど回復魔法の練習を続け、今日の分は終わりにした。
これも毎日のルーティン入りか……そのうち痛みに慣れるのかな……はぁ。
そしてここからはお待ちかね! ただの草に魔力を込める実験を開始する!!
「まずは無属性から行ってみよう」
加減がわからないので、最初は少しずつじりじりと魔力を込めていく。
すると、草の保有魔力量が徐々に増えていく。
おぉ! これってもしかすると薬草を自力で作れちゃうってこと!?
……とか思っていたら、ある程度のところで急に枯れ朽ちていく……
あぁ……マジかぁ……
う~ん、枯れる寸前の時点だと最下級の薬草に到達してたかどうかってぐらいだな……
この草自身の魔力的ポテンシャルがそこまでだったってことか?
それとも、急激な魔力の増量は無理ってことか?
とりあえず、2本目も同じ方法で無属性の魔力を込めてみる。
ただ、この2本目は手持ちの草の中で一番保有魔力量の多いやつだ。
なので、たぶんポテンシャルは一番あると思う。
……がしかし、やっぱりある程度のところで枯れてしまう。
この草はもともとあと一歩で最下級の薬草に昇格出来そうな雰囲気だったこともあり、枯れる寸前で止めていれば薬草として売れるレベルにはなっていた気がする。
この結果から、昇格間近の草なら人工的に1ランクを上げることは出来そうということが分かった。
……ただまぁ、なんらかの問題があるかもなので、売却するときはザムトルのオッサンかトレルルスに確認を取ってからにした方がよさそうだね。
あと、枯れる瞬間がわりと急にくるからその辺の見極めも必要なのが面倒と言えば面倒。
……正直、無理にやることはないかな、ミスったら枯れちゃうし。
特に、あんまり等級の高い薬草ではやらない方がいいな、勿体ない。
とりあえず、これは気まぐれにやるぐらいに留めておこう。
その後はいろいろな属性の魔力を込めたりしながら実験を行った。
すると、火属性なら赤系とかみたいな感じで、薄っすらと草の色が変わったので、たぶん属性による影響はあるっぽい。
ただ、やっぱりある程度のところで枯れちゃうから、劇的な変化とは言い難いのが残念だ。
たぶん、草に属性を持たせたいなら、ある程度の長期戦を覚悟して、毎日少しずつ属性魔力を与えていかないとダメな気がするね。
……う~ん、地味に面倒そうだ。
この辺はたぶん、研究者とかがやっていることだろうからそっちに任せた方がいいかな?
そんな感じで、今日のところはただの草に魔力を込める実験を終わりにした。
その後はいつも通り、筋トレと精密魔力操作を行って眠りについた。
夜明けとともに、自然と目が覚めた。
さて、さっそく朝練に行きますかね。
ファティマと焼肉の日程も決めなきゃだし。
そうしていつものコースで朝練を行っていると、ファティマがやって来た。
「おはよう。ロイターたちの都合は聞けたかしら?」
「おう、夕食ならいつでもいいってさ」
「そう、パルフェナはいつでも大丈夫と言っていたわ」
「そうか。ああ、俺は明日明後日の闇と無の日は用事がある」
「それなら、来週の地の日の夕食にしましょうか」
「そうだな。そして昨日、絶品オーク肉を狩って来たからな、期待しておけよ!」
「あら、それは楽しみね」
こうして焼肉の日程が決まり、ファティマとは別れて朝練を再開する。
少し前から加えた向かい風にもだいぶ慣れてきていい感じ。
ウォーキングも少しずつペースを上げるようにしてきたが、そろそろランニングと呼べるレベルに達してきている気がする。
よし、これからの朝練は「向かい風魔力操作音読ランニング」だ!!
そして、早朝ということもあり人数自体は少ないが、走りながら音読をしている俺に奇異の目を向けてくる学生もいるが、それはそれ。
そうこうして1時間程度の朝練を終え、自室のシャワーで汗を流し、朝食へ。
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