第3章 究極の少女
第35話 遂に始まったな
先週はゴブリン集落の討伐とマヌケ野郎の始末という大仕事をこなして、ちょっと一段落が着いた感があったため、週末は日々のルーティンとなっている魔力操作や基礎的な運動だけはきちんとこなしつつ、休暇とした。
やっぱさ、人間心にも休息が必要だと思うんだ。
正直なところ、なるべくなら主人公君に任せようと思っていた魔族のマヌケどもなんだけど……
今回のことであいつらが思ったよりもあちらこちらと、ちょろついてることがわかったし、おそらくこれからもちょくちょく出くわすだろう。
そうなると、俺の気ままな異世界ライフも邪魔されて精神的に疲弊するだろうからね、今のうちに心の充電をしておこうってわけ。
まぁ、王国も動くとは思うんだけど、どこまでっていうのが不透明だし、ゲームでは基本主人公の活躍で王国の未来が守られたってシナリオだからね。
あんま期待しすぎちゃダメかなって思う。
そんなことをつらつらと考えていたら食堂に着いたので朝食をいただこう。
この世界に転生してアレス君として生きることになった当初は食事量を減らすのにもかなり苦労したけどさ、だいぶ余裕になって来た。
今では凄めの大食漢ってレベルに落ち着いたからね、我ながら頑張ったもんだよ。
それと、ちょっと前までは、細マッチョになってイケイケなナイスガイになってやるって思ってた。
でも最近、このプニっとモチっとしたボデーもカワイイって感じで意外とアリなんじゃないかって思いかけているんだよね。
それにやっぱ、包容力っていうのも大事じゃん?
ゆるふわボデーの方がその辺都合がいいと思うんだ。
……ハッ! ゴール直前に油断する気持ちって、もしかしてコレのことか!?
うん、俺も食の世界のアスリートと言っても過言ではないからね、気を付けないと!
「おい、聞いたか? 最近、王女殿下に付きまとう不届きな奴がいるらしいぞ」
「聞いた聞いた~あの士爵家の勘違い君でしょ?」
「私も聞いたな、王女殿下の優しさにつけ込んで……まったく、嘆かわしいことだ」
「ああいう図々しい奴って、人の迷惑とか考えられないから、マジで迷惑なんだよな!」
「ほんとぉだよね~僕もああいう奴キライ~」
入学から1カ月、遂に始まったな……
主人公君よ、お前がエリナ先生以外を選ぶのなら……俺はお前の恋路を邪魔しない。
むしろ心の中で応援してやる。
だから負けんな!
王女殿下との真実の愛を勝ち取れ!!
お前になら出来る! ということをゲームで知っている!!
「なんか妙な圧力を感じるな……ヒッ!!」
「あわわ……」
「ぐっう……」
ん? なんだあいつら、こっちを見て突然怯えだしたぞ……この愛されボデーに生まれ変わったアレス君に何て目を向けるんだ! 失礼な奴等だな!!
お前らには頼まれたって俺のほっぺたをツンツンさせてやらないぞ!
今更謝ったってもう遅いんだからな!!
……食べ終わったことだし、この不愉快な空間からさっさとオサラバしよう。
このあと授業があってよかった、この不機嫌な気持ちもエリナ先生に会いさえすれば自然と癒えてしまうからね。
よし、早速移動しよう! 待っててね、エリナ先生~
「あの魔力圧、なんなんだよ……」
「コワかったよぉ……」
「なぜ突然、解せぬ……」
教室に着いた。
授業が始まる前の時間を利用して、チラッと教科書を読んでおくかな。
ふむ、今日の授業は命はどこに宿っているかという哲学的な問いから始まり、戦闘における致命傷とは何ぞやという話に繋がるみたい。
そんな感じで、授業が始まった。
ふむ、モンスターによっては頭を切り落としても死なない奴、心臓を撃ち抜いても死なない奴、いろいろいるようだ。
そこで、俺ら人間の場合も、たとえ頭や心臓がやられたとしても、最上級回復ポーションが間に合えば助かるらしいって言うんだから凄いよね……
ごめん、いくらエリナ先生の話でも、それを信じるのはかなりハードルが高いから、基本的に頭と心臓をしっかり守って戦うことにしよう。
……というか、よく考えたら俺って、基本ソロプレイだからポーションを使ってくれるような奴いなかったわ、ははは。
そんで、頭や心臓はポーションでどうにかなるならそこに命は宿っていなくて、魔臓に命が宿っているって主張している研究者がいるらしい。
だから、確実に殺したいんだったら魔臓を破壊しろって言いたいんだって。
でも、魔臓って物理的臓器じゃなくて概念的臓器なんじゃないの?
俺の場合、丹田……まぁ腹をえぐられたとしても、それは単なる肉片でそこに魔臓はないと思うんだが……そういう概念的なものを破壊するのってムズくね?
まぁ、魔法はイメージだっていうんだから、概念的物質を破壊するイメージをしろって話なのかもしれんが……
……うん、面倒だからミキオ君の蹂躙モードで木端微塵にしちゃえばいいか。
それならいくら最上級回復ポーションでも回復できないでしょ。
とりあえず、今まで俺はゴブリンばっか相手にしてて、基本頭をつららで撃ち抜いて終わってたからね、それだとそのうち対処できないモンスターと遭遇することがあるってことは覚えておかなきゃかな。
あと、マヌケ族の場合は、どこに魔臓があってもいいように入念に破壊しといた方がいいってことだな。
そう考えれば、この前のマヌケ野郎の始末は図らずも上手くやったってことだな、よかったよかった。
「じゃあ、今日はここまで。今日の内容は戦闘スタイルを確立する上でとても重要な要素になるから、各自しっかりと頭に入れて今後に役立ててちょうだい。ではまた明日ね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます