第16話 生還

伝次郎は最後の力と気力を振り絞り、味方の基地へとたどり着いた。

傷ついた伝次郎を前線基地の情報戦略部隊の隊員が優しく受け止めた。

「偉いぞ伝次郎。いますぐ手当をしてやるからな。

 絶対に死ぬんじゃないぞ。」

その言葉を聞いたのち、伝次郎は意識を失った。


それから数日後に、傷ついた伝次郎が目を開けた。

彼の目に太陽の光が差し込みまぶしかった。

それと同時に、彼の耳に大きな歓声が飛び込んできた。


軍医

「司令。伝次郎が目を覚ましました」

司令官

「おお。流石伝助の末裔だ。こんなところでくたばるやつではないと信じていたぞ」

軍医

「かなりの深手でしたが、傷の治りも普通の鳩とは違うようです。暫く休めばまた

 元気に飛べるようになります。」

司令官

「そうか。伝次郎。大儀であった。お前の働きのおかげでR国は一時撤退を余儀なく

 された。我々の作戦は成功し、H国は進撃から救われたのだ」


伝次郎は自分が任務を果たすことが出来たとここで初めて知った。

そして大きな歓声は、彼の情報のおかげで奇襲攻撃を成功させ、ほとんど無傷で敵の補給基地であるイレブン島奪取に成功した仲間の歓喜の声であった。

そしてその奇襲部隊の中には、伝次郎の仲間の情報戦略課司令官付士官の弟もいた。彼も伝次郎の活躍によって、助かった者の一人であった。

「伝次郎。よくやった。お前のおかげだ。ありがとう」

伝次郎は自分の働きでみんなが喜んでくれているのがなんとなくわかって、ちょっと照れ臭かったが、自分を励ましてくれた兄の声に向かってこうつぶやいた。


「兄さん。俺立派にやり遂げたよ。兄さんのおかげだ。ありがとう」


この功績と名誉の負傷により、伝次郎には十分な休息が与えられた。

伝次郎の伝説の始まりであった。     


第2章 完

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特務戦士 伝次郎 カピ蔵 @kapizou_g3

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