第7話 奥義炸裂
隼は伝次郎を完全に射程のとらえた。
伝次郎は気付かないふりをして、飛び続けた。
だが彼は最適な地形を探しながら飛行していたのだった。
地面の直前で体をひねって避けたとしても、隼も同様に避けたのでは意味がない。
だから伝次郎は隼が絶対に回避できないよう、切り立った岩場がある所を探して
飛んでいたのだった。
伝次郎を射程にとらえた隼は、一気に急降下攻撃を開始した。
伝次郎は地面と自分と隼までの距離を正確に測り、タイミングを見て急降下を開始した。
隼は逃げる伝次郎を見て、自分の勝利を確信した。
今までこの戦法で逃した鳩はいなかったからだ。
普通の鳩なら羽をばたつかせて必死に逃げ惑う行動をとるだろう。
そしてその行動は隼にとっては好都合で、ごく当然のありふれた行動であった。
しかし伝次郎の行動は違った。
まっすぐに地面に向かって急降下を始めたのであった。
しかし、いくら同じ急降下であっても鳩の速度はせいぜい180キロ、隼は300キロである。
普通に考えれば、鳩が逃げられる道理はない。
隼は気にせず伝次郎に向かって真っすぐに急降下してきた。
伝次郎は冷静に奥義「鷹撃降下回殲滅」を放つタイミングを図っていた。
隼の鋭い爪が伝次郎に食い込むその刹那に、伝次郎は起死回生の奥義「鷹撃降下回殲滅」を放った。
伝次郎は間一髪地面との激突を避け、岩陰をすり抜けて窮地を脱出した。
一方隼は地面との激突を避けるため体を捻ったが、もとより時速300キロで急降下していた為、何とか地面との激突は回避したが、次の瞬間岩に激突してその命を
落とした。
隼にとってはいつもの食事の時間になるはずだったが、まさか命を落とすことになるとは夢にも思わなかっただろう。
しかしこれが自然の厳しい現実なのである。
隼の攻撃を奥義でかわした伝次郎であったが、まだこの先に幾多の危険が待ち受けている。
はたして伝次郎は目的地にたどり着くことができるのであろうか。
がんばれ伝次郎。お前がやらずに誰がやる。
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