第4話 伝次郎の試練

地球の地磁気はS局とN局が逆転することがあるのを皆さんはご存じだろうか?

地球が誕生してからしばしば起きている現象なのである。

その周期ははっきりとしていないが、100万年の間に26回ほど起きている。

原因はわかっていないが、その時は着実に近づいていたのだった。


そんなおり伝次郎たち伝書鳩が集められて、日本の国(以後H国)の政府による特務戦隊が組織されようとしていた。

それぞれ優秀な鳩が集められたが、特務戦隊に入隊するには並の実力では叶わない。

鳩たちは暗いゲージに入れられ、外の世界が全く見えない状態でH国の最北端まで連れていかれた。

ゴールはそこから1000キロ離れたところにある、特務戦隊の本拠地である。

通常の鳩は時速70kmで飛行できるが、訓練された鳩は時速80キロ以上で飛ぶことができる。

1000キロの距離を約半日で移動できる計算になる。

しかしどの鳩も同じというわけではなく、速さも持久力もそれぞれ鳩の個体によるところが大きい。

最短距離で飛行でき、かつ時速80キロ以上をキープして飛び続けることは並の鳩にはできない。

その点、伝助の血統を継ぐ伝次郎はずば抜けていた。

彼は上手に気流を読んで、向かい風の中でも時速80キロ以上を保つことができた。

そして1200キロくらいなら休むことなく飛ぶことができたのだ。

問題は地磁気を正確に読み取れず、逆の方向へ行ってしまうという問題だった。


だがしかし、テストが行われるその日その時、事件は起きた。

磁気嵐が吹き荒れ、地磁気が乱れ、さらに磁場逆転現象が起きたのだ。


開始から1時間くらいまでは何事もなく順調に鳩たちは基地に向かって飛んでいたが、まもなく事件が起きた。

鳩たちは次々と方向感覚が狂いだし、今自分がどちらの方角に進んでいるか

わからなくなった。

戸惑いながらも飛行を続けるもの、あきらめて一旦ヤドリギを見つけて休む者。

中には完全に方向を見失い、陸から離れた太平洋に向かって飛んで力尽きる

者もいた。

果たして伝次郎の運命や如何に!!

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