第2話 時は現代へ
時は2022年。
世界は第3次世界大戦勃発の危機にあった。
最初はR国と自国から独立したU国との間に始まった戦争でった。
当初強大な軍事力を持っている大国R国がU国を沈黙させ、この戦争は早々に片が
付くと誰もが思っていた。
しかし、U国は得意の情報戦略を展開し、世界を味方につけ、R国を孤立させることに成功した。
その為圧倒的に不利と思われていた戦局をひっくり返し、大国R国を追い詰めた。
R国は強大な軍事力をもっていたが、その軍事力を長く維持するための経済力がなかった。その為、U国は戦線を長引かせて敵の補給線を叩き、消耗を待った。
追い詰められたR国は全世界に対して報復活動として、大陸間弾道ミサイルを発射したが、事前にその動きを察知した各国は、ミサイルを宇宙空間で撃墜することに成功し、地上が核攻撃にさらされることはなかった。
しかし、宇宙空間で核爆発が起きたため、世界中の電子機器が使えなくなった。
電話やメール、インターネットだけでなく、車や飛行機を動かす為の電子機器すべてが使えなくなったのだ。
現代人にとってすべての情報と交通機関、インフラが停止するということは恐怖であった。
世界各地で混乱が生じ、時代はいっきに1700年代まで遡った。
便利な乗り物や調理器具はなく、ガスも水道も電気もコンピューターによる電子制御で動いているものすべて止まってしまったのだ。
最低限のライフラインの確保のため、核爆発による電磁パルスの影響を受けずに済んだ旧型のパソコンを使って、何とかライフラインだけは動かすことができたが、それが精いっぱいだった。
そんな中でR国が隣国に攻め入り、領土や食料の略奪を始めた。
そして海を渡り日本の国(以下H国)まで侵略の手を伸ばしてきたといううわさが流れ、国民は混乱した。
「確かな情報をいち早く掴んだものが戦いを制する」という山本伝助の言葉を思い出したH国政府は直ちに情報戦略の特務機関を開設した。
最適な一手を相手より早く打つ為に、情報は自らの目で確認し、それをいち早く司令部へ持ち帰ることが、特務機関の使命だった。
かくして、その伝令役として伝説の伝書鳩一族に白羽の矢が立ったのであった。
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