第386話本番直前②佐伯楓視点 30分前

本番30分前になりました。

既に会場は満員です。

高名な学者の先生方がほとんどです。

まず車椅子の秋山先生をねぎらい、美代子夫人にも、しっかりと、ご挨拶。

もちろん、森田哲夫先生と彰子先生にも、頭を下げています。

(彰子先生の不安そうな顔、やはり祐君が心配で仕方がないようです)


祐君ですか?

かなり、顏が青いです。(それは緊張しますよ、すごい学者たちを前に、スピーチですから)

祐君に差し入れをしました。(もちろん、私から)

虎屋の羊羹と濃いめに淹れた煎茶です。

祐君は、にっこり。

(もう!こっちまでうれしくなる可愛さです、美しいとも)

半分くらい食べ終わったところで、上司から連絡が来ました。

「受付はほとんど終了した、後は出版社で対応する」

「祐君を心配する女子たちを楽屋に」


その女子たちが、すぐに楽屋に入って来ました。

純子さん、真由美さん、春奈さん、朱里さん。(みんなきれいで若い!少し嫉妬するかも)


祐君の顏が、また、少し変わりました。(ホッとしたような顔)


純子さんが、代表して祐君に。

「ねえ、ムギュってしていい?」

(・・・なんのこと?私は初めて聞くけれど)


祐君は、「はぁ?」でも、椅子から立ちました。

(羊羹の食べ残しを気にしているらしい)


真由美さんの言葉も意味不明です。

「モタモタしない!」

春奈さんは、ますます意味不明。

「力水でなくて。力胸だよ」

朱里さんは、顏が真っ赤。

「はやく!順番に!待ちきれない」


祐君は、純子さん、真由美さん、春奈さん、朱里さんの順番に、胸ムギュされました。(実に素直、無抵抗でした)


(なんか・・・密着強過ぎて、妬けるなあ・・・)

(私もしたいなあ)

(終わったらドサクサに紛れて・・・)

(抱き心地良さそうな祐君だ)


その胸ムギュが終わった祐君ですか?

(青い顔が赤い顔、胸密着が苦しかったかも)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る