第385話本番直前①佐伯楓視点 1時間前

私は、佐伯楓。24歳。出版社勤務2年目です。

前任の伊藤が、祐君に失言を行い実に申し訳なく思っています。

(源氏物語のグラフ誌で、祐君の気持ちも確認せずに、予定を組んでしまったこと)

(しっかり決まっていないのに、秋山先生、森田哲夫事務所の内諾を得たなどと、勇み足)

(その上、祐君にお化粧をさせて光源氏のモデルにします・・・本当に失礼極まります)

(そういう勇み足をしてしまうのも、積極派の伊藤さんの、良い点でもあり、悪い点でもあるのですが、今回は酷過ぎました・・・本人は古文から、料理部門に配置転換です)


さて、私、佐伯楓は、実は祐君のブログの愛読者でしたので、今回担当になって、実に幸せで、やる気がみなぎっています。

(ただ、繊細な祐君なので、慎重にと、思っています)


楽屋での打ち合わせは、プログラムの説明です。

開会は司会の、私、佐伯楓。


次に秋山先生の今回の講演取りやめの事情説明。(怪我によるものなので、簡単に)

客席に秋山先生ご夫妻がおられるので、スポットライトを少しあてます。


続いて、祐君の紹介に移ります。

(平井恵子先生が、すでに根回しをされているので、楽です)

大学一年生であること。森田哲夫、彰子夫妻のご子息で、秋山先生の孫弟子。(子供の頃からのお付き合い)、京大の元学長森田大先生のお孫さんも重要です。


少し間をおいて、祝電と花束の報告。

いつもの秋山先生の講演会より、かなり多くなっています。

特にTフィルの指揮者ジャンとヴァイオリニストのジュリア(超美人です)は驚かれますし、桜田愛奈ちゃんからは・・・マスコミネタになりそうです。


それでも、「愛奈さんのはどうします?」と、祐君に確認しました。


祐君は、少し笑って(可愛い!弟にしたい!)

「そのまま紹介していいです、モデル仲間で、もうすぐ総務省のポスターで一緒に映る、今さら隠しても意味がない」とのこと。


「彼女さんですか?」(つい、興味あるから聞きました)


祐君は、プッとふきました。

「まさか、愛奈を?あいつは面倒で嫌だよ」

(・・・国民的アイドルを、あいつ呼び?)


時計を見ると、午後6時(開演1時間前)です。

祐君は、おにぎりを食べはじめています。

(大学近くのライブバーからの届け物です)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る