第337話祐はまた肉の壁で眠る。(祐視点)

森田哲夫神田事務所からは、車(タクシー) で送ってもらった。

(お見舞いの品も多かったから)(食品の冷凍物は少しだけ、アパートの冷蔵庫は小型、とても入り切れない)


夕食は、田中朱里さんがメインになって、味噌煮込みうどんと手羽先、サラダなど。

純子さん、真由美さん、春奈さんも加わって、華やかな感じ。(少しうるさい、とは言えない、怖いから、多勢に無勢、安全第一を貫く)


夕食後のデザートは、ゴディバチョコと、マキシムドパリの焼き菓子。

本当に女性たちは、食欲が「すごいなあ」と思う。


でも、僕はイマイチ不調。(プチ食欲不振)

味噌煮込みうどんも、ようやく一杯程度。

チョコレートも焼き菓子も、「美味しいだろうな」とは思うけれど、手が伸びない。

おそらく、病院から処方されている痛み止め薬の副作用らしい。

(毎食後と、寝る前に飲む)


この痛み止め薬で感じるのは、すぐに眠気が発生すること。

ボンヤリもするし、起きても、すぐに、また眠くなる。

だから、ジュリアとの演奏は、苦労した。

痛みと眠気で、本来の6割の演奏で終わってしまった。(ごめんなさい)


眠気が強いので、薬剤師に質問をした。

「飲まないと、どうなるのですか?」

「あるいは、減らすと?」


薬剤師は、

「事故の衝撃が、まだ身体全体に残っています」

「その衝撃と、それに対処する緊張を少しずつやわらげる効果がある薬」

「鎮静剤も入っていますので、二週間は医師の処方の通りに服用してください」

と教えてくれたので、どうにもならない。


ガールズトークについて行けずに、ソファでウトウトしていたら、純子さんが気をつかってくれた。(やさしくて、いい人だ、安心する)

「お風呂に入って、眠ったら?後は任せて」


お言葉に甘えて、お風呂に入った。

この前は、「のぞかれた!」けれど、今回はしっかり鍵をしたので、安心。

ゆっくりお風呂に入って、しっかり洗った。

でも、何度も、「大丈夫?」の声がかかった。

(「大丈夫」と答える以外に、選択肢はないのに)

僕のハダカを見て、そもそも何が面白いのか、よくわからない。


シャンプーをして、バスタオルをかぶって、部屋に入ったのは、失敗だった。

「順番に拭く」とか言い出す人がいて、その通り、拭かれた。

でも、前から拭かれても、背中越しから拭かれても、胸が当たる。

(前からは顏にボンボン、背中越しには後頭部にムニュって感じ・・・意識的?)

(こんなことをして、何が面白いのか、不明)

(単に女子たちで張り合っているだけかな)

(僕は、そんなの全く興味はないのに)


それでも、昨夜のこともある。(純子さんと真由美さんの肉の壁の夜)

今夜、「泊る」と言って来た朱里さんと春奈さんには、しっかり申し渡した。

「僕のことを心配してくれる、お気持ちは感謝します」

「でも、僕は、抱き人形ではありません」

「ですから、隣の部屋でお休みください」


朱里さんと春奈さんは、にっこりと「はーい!」。

純子さんと真由美さんも、しっかりと頷いたので、僕は信じた。

もう、二度と、「あんな間違い」はないと思った。

安心して、医師から処方された痛み止め薬を飲んで、ベッドに入った。


・・・しかし・・・

今度は夜中に異変を感じた。

やはり両側に、肉の壁。

左を見ると、朱里さん。

右を見ると、春奈さん。

それと、昨夜より、素肌感が強い。(ジュリアのブラをつけない、と同じような)

足の方を見ると、しっかり二人の素肌、太ももが絡まっている。


でも、薬の効果は,切れていなかった。

結局、スッと眠ってしまった。

(やわらかい感覚は「夢」と思うことにした)(とても現実にしたくないから)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る