第277話祐君の動きは、予想がつかない

祐君と、私、純子と田中朱里はライブバーを出て、大学に戻った。(少しアッサリ気味?でも必須の英語の授業なので、仕方がない、祐君真面目やし)


それでも、祐君に聞いた。

「ねえ、愛奈ちゃんとお話しなかったよね」(朱里さんも気にかかったらしく聞き耳を立てている)

祐君は、はんなり。(何も気にしていない感じ)

「ああ、そう言えばジャンと話があるらしい」

「ジャンのオーケストラのコンサートで司会するとか」

「それより、英語面白そう、キャサリン・マンスフィールド好きだから」

私は、焦った。

「その好きって・・・読んだことあるの?原書?」

田中朱里も、ワナワナと祐君に聞く。

「ご実家に原書があるの?」

祐君は、普通顔。

「あるよ、親父が世界中のあちこちで原書を買って来る」

「英語は、何とか読めたから、マンスフィールドもあって、面白かった」(もう・・・祐君には、何が起きても、驚かない)


少し歩くと、祐君のスマホが鳴った。

祐君は、機嫌悪そうに会話。

「これから、授業」

「それ、言ってあったよね」

「そういう我がまま言わない」

「文句言わない、メンバーから外すよ」

「ほら・・・そこで泣かない」

少し間があった。

「それもダメ、その日は、僕も本番」

「ほら、泣かないでよ」

「うん、嫌わないから」

「またね」


スマホ通話を終えて、祐君は、ドッと疲れた顔。

「もうやだ・・・あいつ」


私は、そっと聞いた。

「もしかして・・・愛奈ちゃん?」

田中朱里は、不安そうな顔。

「愛奈ちゃんと、喧嘩していたの?」


祐君は、苦笑い。

「秋山先生の講演の日と、ジャンのオーケストラのコンサートの日は同じ」

「でも、愛奈は我がままだから、見に来てって」

「英語の授業も言ってあったのに、忘れていて」

「とにかく、我がままお嬢さん」

「ダメと言えば泣くし」


私は、クラクラして来た。

「国民的アイドルを、袖に・・・」

田中朱里は不安そうな顔。

「祐君、愛奈ちゃんに、後でフォローするの?」


祐君は、微妙な顔。

「どうせ、深夜に長電話して来る」

「して来なければ、それでよし」

「子供の頃から、悩みの種かな」


そこまで言って、祐君は話題を変えた。

「授業が終わったら、銀座に行く」

「用事がある人は、別行動で」


私は、用事がないので、銀座には行く。

(面倒なことに)田中朱里も、「行きます」と宣言。


祐君は笑って、銀座に行く理由を説明。

「あのね、フルートの部品交換する」

「今日も、実は壊れそうだった」

「29,800円のフルートだけど、お年玉フルートだから大事に」(そこにこだわり?)


でも、私も田中朱里も、銀座に行くのが、うれしい。

恥ずかしいほどに、ニマニマとしているのである。

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