第270話帰りのメトロにて

いとこ漫才と、たけのこ美食を終え、祐たちは帰途についた。

日本橋の駅まで、恵美は見送りに来た。


別れ際、祐は、やさしかった。

「元気でね、恵美ちゃん」

恵美は、途端にウルウル。

「嫌、帰らないで」

「だめなら、祐ちゃんについて行く」


そんな「泣きごと」も想定内、祐は恵美の頭を撫ででてから、改札に入った。


メトロの車内は、空いていたので、祐、純子、真由美は並んで座る。(なぜか、祐が真ん中)

祐がポツリ。

「恵美ちゃんと、誕生日が七日しか離れてない、生まれた年は同じ」

純子

「そうだよね、でも、祐君はお兄さん風、頭撫でていたし」

真由美

「恵美ちゃんも、甘えっ子、それが可愛い」

「妹にしたいなあ」

純子も、すぐに乗った。

「うん、いいね、私も恵美ちゃん好き」

祐は、心配を述べる。

「日本橋、銀座を遊び歩いて育った子」

「少し遊び好き、美食好き」

真由美

「大丈夫、姉として、何とかします」

純子も頷く。

「大切な妹だもの」


三人のスマホには、恵美から、同時に「ありがとう」スタンプが送られていたので、三者三様に帰す。

真由美

「美味しい御料理と、楽しい話、ありがとうございました、また、呼んでね!女子会も楽しみ!」

純子

「恵美ちゃん、可愛かった、お父様とお母様にも、よろしくお伝えください」

「また、三人女子で遊ぼうね」


祐は実にあっさり。

「美味しかった、おじさんによろしく」


これには、覗き込んだ純子と真由美も、「おいおい!」だった。

純子

「美智代おばさんと恵美ちゃんには?」

真由美

「二人とも泣くよ?」


祐は、うろたえた。

「美智代おばさんとは、帰る時に握手したし」

「恵美の頭を撫でたし」

「あまり、ベタベタするの慣れていないし」


新宿を過ぎたところで、また別のメッセージが入った。

ジュリアだった。

「明日のお昼、ライブバーにフルート持って来て」

「メンバーはジャンと私、村越さん」

「ブルーノートやるよ」


祐は、途端に笑顔。

「ジャンがパーカッションで、うん・・・」

「フルートか・・・朝練習する」

「息持つかな」


真由美

「行く、聴きたい」

純子

「祐君の、ブルーノートかあ・・・楽しみ」

真由美

「朝の練習もつき合っていい?」

純子

「ついでに朝ごはんもそこで」


祐は、そこまでは予想していなかったらしい。(目が、まん丸になっている)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る