第269話祐の新提案
「ところでさ・・・」
私、純子がじっと見ていると、祐君は、しばらく悩んで、目を半分開いた。(不思議や表情や、でも可愛い)
恵美ちゃんは、不安顔。
「モデルにしてくれるの?」
祐君は、中途半端。
「うーん、あのさ、変かなあ」(それだと、わからん・・・言い辛いのかな?)
でも、恵美ちゃんは、怒らない。
「こういう顔の祐ちゃんは、メチャ面白いこと言うよ、今、頭の中がフル回転」
(・・・さすが、いとこや・・・うちも覚えておこう・・・未来の旦那様や)
真由美さんもじっと見つめる中、祐君がおもむろに目と、口を開いた。
「現代に生きる古今和歌集・・・となると」
恵美ちゃんは、祐君をじっと見ている。(もちろん、全員や)
祐君は、ゆっくりだ。
「何が何でも、古代の衣装とか、風景にこだわる必要がないかも」
「恵美ちゃんが、新訳の古今を持って、山手線で読んでいるとか」
「桜、夕日の新宿御苑で、ベンチに座って、小野小町を読んでいるとか」
「高校の制服でも、かまわない・・・むしろ、そのほうが自然かな」
最初に反応したのは、真由美さんだった。
すごく驚いた顔。
「あ・・・盲点だった・・・」
「そうだよね、それでないと、現代に生きないかも」
「もちろん、十二単の姫様も出すけれど、現代風の服も」
私も納得。
「女子高生が並んで、電車で古今読んでいるとか」
「業平様のトークをしているとか?」
美智代さんも、話に加わって来た。
「楽しそうね、それ」
「祐君、さすが・・・」
恵美ちゃんも、ニコニコ。
「今風の浴衣を着て、蛍の歌もいいな」
「で・・・隣に祐ちゃん」(甘えんぼや、ほんまに、いとこフェチ?)
祐君は、提案が反対されなかったので、ホッとした顔。
「愛奈にも言っておく」
「事前に言わないと、ツムジ曲げるから」
その祐君に、美智代さんが苦笑。
「お世話も大変ね」
「昔から、苦労して来たよね」(どうやら、情報は持っているらしい)
祐君は、そこで全員を見た。
「怒らせると、面倒」
「何を言い出すか、やってしまうか、わからない」
「愛奈のために、古今の仕事を邪魔されたくない」
真由美さん
「それは、賛成、私も本気やけん」(・・・博多弁になっとるし、目も光っとる)
私も、負けない。
「変なトラブルで、みんなの努力を無駄には出来ないよ」(えへへ、関東弁にも慣れた)
ただ、そこで美智代さんの娘イジリが出た。
「恵美は、ミニスカートは、やめたほうがいいかな」
恵美ちゃんは、抵抗。
「いや、健康的な美脚と」
美智代さん
「水着のお金・・・あれ貸したんだよ」
恵美ちゃんは、口をへの字。
祐君は、そこで、ようやく恵美ちゃんに反撃。
「恵美ちゃん、何か、あったの?水着が?」
恵美ちゃんは真っ赤。
「うるさい!祐ちゃんには見せない!」
祐君は、フフッと笑ってクールサインを出している。
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