第271話フルート「朝練」で、不安発生
祐のフルート「朝練」は、中村先生の八幡山スタジオだった。
近所の公園も考えたけれど、警察への通報を、祐が心配した。
(祐は、以前、そんなニュースを新聞で読んでいたらしい)
八幡山スタジオについて、まずは、サンドイッチと珈琲の朝食。
尚、サンドイッチは純子と真由美の共作、珈琲は祐が淹れた。
祐
「本当は公園が気持ちがいいけどね、人権派らしい、そういうこと言うの」
純子
「自分の権利ばかり主張するタイプやな、理屈に走る人もおる」
真由美
「でも、変な評判になって、祐君が苦しんでもねえ・・・」
「可愛いし、聴衆ができそう」
そんな会話の後、祐はフルートを手に持った。
「息が、続くかな、それが心配」
「3か月吹いていなかった」
純子と真由美が見守る中、祐はフルートを吹く。(Cの音を、ロングトーンで)
最初は、少しかすれた。
数秒後に安定した。
祐は落ち着いた顔になった。
「少し苦しいけど、何とかなるかも」
その後は、ロングトーンを続けた後、音階練習に。
最初は、ゆったり目に、ブレスも大きく取って。
しだいに、半音階も含めて、速くなった。
見守る二人から、声がかかった。
純子
「基礎練だけにするの?」
真由美
「納得したら、一曲お願い」
祐は、一旦フルートを口から離して、椅子に座った。
息が、少し荒い。
「ふう・・・少しクラクラする」
「マジに練習不足だ」
「横隔膜が広がらない感じ」
純子
「でも、すごくきれいな音だよ」
真由美
「うん、高校のブラバンの子より、全然上手」
祐は、苦笑しながら、フルートを持って立ちあがる。
そして、スタジオ内の機械を操作。
「これ、ソロ練習用のカラオケも入っている」と、説明。
吹き始めたのは、モーツァルトのフルート四重奏曲第一楽章。
純子は驚いた。
「いい・・・これ・・・かっこいい!」
「祐君、フルートもこんなに?」
真由美は、うっとり
「これは・・・すご過ぎ・・・」
「録音して、永久保存版」
ただ、祐に問題が発生した。
第一楽章を吹き終えた段階で、バテてしまったのである。
そのまま、座り込んで、ゼイゼイしている。
「二楽章は、ゆっくりの曲だから、息が持たない」
「お昼の本番はきついな・・・ヤバイかも」
「サボり続けた罰かも」
「また、中村先生に叱られる」
純子と真由美も、そんな祐に不安を感じ始めている。
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