第242話古今新訳の発表形態で相談

「ありがとう」

祐君は、落ち着いた顔で、電話を終えた。


私、真由美は、安心した気持ちと、「誰?」の疑問が交錯した複雑な気持ち。

でも、祐君は、あっさりと「相手」を明かした。

「親父にOKもらった」(・・・哲夫大先生に?恐れ多い)


ただ、それでは「意味不明」

案の定、純子さんが突っ込みを入れる。

「何のOKなの?」


祐君は、少し慌て顔。(その顔好き・・・ブチュってしたいよーーー)

「神田に親父の東京オフィスがあってね」

「そこに、すごく多い写真ファイル」

「京都の写真も、数万枚ある」

「親父は発表した写真は、ダメだけど、使わなかった写真はOKと」

「発表しなかった写真でも、すごい写真は多いから」


春奈さんが、顔を真っ赤に、フラフラ、ペタンとソファに座った。

「哲夫先生の未発表写真・・・それを使えるの?」


祐君は、苦笑。

「参考にするだけかもしれない」

「僕が撮った写真ファイルも多い」

「写真を見て、和歌と照らし合わせないとね」

「京都に行く前に、神田に行ってきます」


その祐君に純子さん

「私たちも行っていい?」


祐君は、少し迷った。

「機材置き場みたいなものだよ」

「それほど広くないし」


しかし、女子三人の視線には抗せなかった。

「わかった、日曜日に」

「目も疲れるから、目薬が必要かな」


話は、そこでまとまり、春奈さんは帰って行った。(でも、潤んだ目で祐君を見ていた・・・許せん!何かアブナイことでもしたの?)(祐君が表情を変えないから、わからない)


純子さんと私、祐君の三人になって、少し落ち着く。

(本当は祐君と二人きりになりたい!)(でも、私、抑えられないからなあ・・・)


祐君は、また微妙な顔に戻った。

「出版社も、読んでいるみたい、顔合わせしたいって」

「でも、僕の頭の中で未完成だから」

純子さんも頷く。

「せっかく出版するんやから、納得できるものに」

「写真も、いい写真が撮れればいいけれどね・・・その日の天候もある」

祐君

「それもあって、未発表の過去の写真を考えたの」

「でも、写真まで考えると、発行コストが高過ぎる」

「特に紙媒体にすると、難しい、発行そのものができなくなる」

純子さん

「最初から電子オンリーも変なのかな」

「うーん・・・紙で読みたい人も多いのかなあ」

祐君は悩んでいる。

「例えば電子オンリーにして、写真、イラストも豊富で・・・できれば詠唱も」

「紙媒体は、コストも考えるから、イラストが少しになる、写真は数枚が限度かな」

「どうするべきか、古今和歌集新訳の性格そのものが、問われる」

「どう考えるべきか、決めておきたい」

「でも、電子書籍にしても、ファイルは大きくなるかな」

純子さん

「でも、これからの世代を考えれば、電子かなあ」

「私は、その思い切りも必要かなと」

私も、その意見が好き。

「電子オンリーかな、いろいろ考えると」


祐君は、腕を組んで考えている。

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