第240話春奈の二人きり作戦③

私、風岡春奈は、祐君にまたしても、完敗してしまった。

「二十歳過ぎの私は、18になったばかりの祐君を押さえつけ」(不意打ち成功!と思った)

「ところが、するっと身体のコントロールを失い」(え?と天井が回った)

「そのまま祐君の膝の上に腹ばい」(恥ずかしい・・・でも、何で、こうなる?)

「お尻パンパン・・・」(痛さはない、でも、あまりの予想外で・・・笑っちゃった)


祐君は、そのうえ、命令して来た。

「春奈さん、重いです、さっさと起きてください」(・・・ツンデレ男子?年下の?)


私は、叩かれたお尻がほんわかして来た。

動きたくないのが、本音。

でも、ツンデレされるのも、面白い。

「はぁーい」と、モソモソしながら動く。


途中、胸が祐君の膝の上を通過。(最近、ボリュームアップした)

少しムニュってなった。(意図的?いや、不可抗力)


ようやく身体を起こすと、祐君は、押さえつける前と同じ顔。

「作業続けますよ」(・・・じゃあ、一連のことは、何だったの?)


でも、さすがに私も、再びの「押さえつけ」にはためらった。

だから、真面目に作業に取り組んだ。(祐君の赤ペン修正は多かった)

半分終わったところで、祐君に謝った。

「さっきは、ごめん」

「襲っちゃった」(言っていて、マジに恥ずかしい)


祐君は、クスッと笑う。(余裕の笑み?)(また年下に負けた)

「あのね、子供の頃から」(・・・子供の頃からって・・・子供の頃から、危ないことしていたの?)


「うん・・・」(私は生唾ゴクリだ)


祐君

「親父の撮影に付き合って」

「モデルさんたちと、じゃれることが多くて」(哲夫さんのモデルになれる女性・・・すごくきれいな人ばかり・・・)(じゃれるって・・・うらやましい)

「さっきみたいに、押さえつけられることも何度も」

「でも、脱出技も教えてもらった」


「はぁ・・・」(何と言っていいやら・・・)

でも、聴きたくなった。

「セクシーな女の人も多かったの?」


祐君は、即答。

「うん、たくさん」

「みんな必死だった」


「必死って?」(意味不明)


祐君は真面目に説明。

「姿勢、表情、光の受け方」

「親父の注文も厳しいしね」

「本当に、ちょっとした角度で、写真は変わる」

「姿勢とか角度が良くても、表情がダメもある」

「何度も失敗すると、気分も落ち込むしね」

「お肌のツヤも、気分で変わるらしい」


「そうか・・・」(ようやくわかった、セクシー美女に囲まれた祐君を考えていた私は、反省した)


祐君は、平井先生の原稿を見ながら、考えている。

「どうやって写真を埋め込むか」

「場所、サイズも大事かな」


そこまで言って、顔を曇らせた。

「京都に行っている時間がない」

「今でもギリギリ」


私は、ススッと祐君に近寄った。(伝えることを忘れていた)

「祐君、出版社の人が逢いたいって、相談してみようよ」


祐君は、「はぁ・・・」と頷いている。(まだ、実感はないようだ)


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