第173話祐君のフォローで田中朱里さんは笑顔になるけれど・・・
「経済思想史」の講義が終わった。
私、純子は、「今日も祐君と学食でお昼!」と思ったけれど、祐君は田中朱里さん(少し離れて座っている)に向かって歩いて行く。(え・・・どうするの?と不安)(だから、私もついていく・・・何があってもだけど)
祐君はやさしい顔。
「さっきは言い過ぎました」(え・・・何を言うの?祐君は言い過ぎていないよ?)
「好き嫌いの話ではありません」(・・・嫌いでいいのに)
「あまり気にしないで」(・・・やさしい・・・女殺しの才?)
田中朱里さんは、涙ボロボロだ。(うわ・・・お化粧も)
「私が悪いの・・・ごめんなさい」
「祐君に謝りたくて・・・ずっと思っていて」
私、純子は田中朱里さんの気持ちを考えた。
「何年か前のことを、今日の講義の前に、祐君に謝ろうと思ったら、眠れなくなってしまった」
「人に謝ったことがないタイプかな・・・お嬢様タイプみたいだから」
「・・・で、気合を入れようとして、香水をキツメに・・・かな・・・」
祐君は、少し笑う。(危険・・・その笑顔・・・自分で気がついて!)
「名古屋のモーニングは、面白いよね」(あ・・・聞いたことある・・・珈琲プラス、餡バターのトーストとか?)
田中朱里さんの顔がパッと明るくなった。
「え?知っています?」
「うれしいです!」(美少女の笑顔は・・・危険や・・・祐君、はよ、学食に行こう!)
ただ、祐君らしい答えだった。
「いつも食べきれなくて・・・」(小食男子・・・)
「家族で、名古屋に旅行に行って」(また、話の順番が変や・・・)
「僕は、珈琲を飲むのも遅くて」(うん、猫舌は知っている)
「パンとサラダは姉貴にほとんど取られた」(ぷっ!その姉貴さんに逢いたくなった!)
田中朱里さんは、さらにニコニコ。
「都内で、名古屋風モーニングを出す店を探しておきます」(おい・・・デートの誘い?却下します!)(私同伴なら、許してあげる)
祐君は、その朱里さんを・・・またもかわす。
「無理です」
「朝は、弱くて」(確かに・・・大きな失敗もあるよね)
田中朱里さんの顔に余裕が戻った。
「はい・・・そんな感じ・・・」
「あの・・・まだ寝癖が」(こいつ・・・許せん!そんなとこ見ないで!私の祐君だよ)
ただ、祐君と田中朱里さんとの話は。そこまでだった。
「ねえ、純子さん、学食でなくて、外に出ない?」
「次の講義は、3時だから時間にも余裕がある」
「はい!わかりました」(私は、もう条件反射で、祐君の腕をゲット、胸を押し当てる)
(田中朱里さんの、え?の顔が、実に、快感だ)
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