第172話祐君は、再び田中朱里を排除する。
私、純子は、またハラハラしている。
楽しい週末、祐君の伊東別荘旅行を楽しんで来て(祐君には大感謝、恵美ちゃんにも大感謝、芳江叔母さんには特大感謝!・・・明太子女には・・・まあ・・・いいか)というのに、今日の一一限目、大教室(「経済思想史」の講義)に、座ろう(もちろん、祐君と一緒!)としたら・・・あの田中朱里さんが、ツカツカと駆け寄って来たのだから。
田中朱里さんは、少し香水きつめ(シャネル?)、スカートは短め(まあ・・・美脚かな・・・見せつけ心が、あざといぞ!)、胸は十人並みだ(勝った!)、でも目の下にクマ(眠れなかった?)。
「ねえ、祐君・・・」(最初には挨拶、おはようとかでは?)(少し失礼だよ、あなたは)
「はい」(祐君は、無表情)(塩対応というより、眠いだけ)(寝ぐせ残っていて、可愛い)
「まだ気にしているの?」(え?何かあったの?その昔・・・気になるし)
「・・・何のこと?」(祐君は、まだ眠そう・・・寝ぼすけ祐君だ)
「だから・・・私のおばあ様が、あなたに言ったこと!」(田中朱里さんは、いきなりキレ口調・・・それにしても・・・おばあ様って・・・あなたはお嬢様なの?)
「・・・何のこと?よくわからないし、何も覚えていない」(祐君は、本当のことを言っている、口調でわかる)
「馬の骨よ・・・覚えていないの?」(何ですと?田中朱里さんのおばあ様が、そんなことを?なんて高飛車な・・・気に入らない!どれほどの御身分なの?)
「そんなこと言ったの?だから何?あの時すごい頭痛で何も覚えていない」(祐君は、面倒そうな顔)
「だから・・・謝りたいの・・・ずっと思っていて」(はぁ?謝る?今さら?)
「あのさ・・・ここは大学」(祐君の目が、開いて来た)
「うん」(田中朱里さんは、祐君をじっと見る・・・あれ?熱い目?)
「よくわからないけれど、そんな昔のこと、どうだっていい」
「だから、あなたは、何も気にしなくていい」
「僕は、勉強に集中したいから」
「あなたは、自分の席に」(正論だ!まあ・・・キッパリと)
でも・・・田中朱里さんは、変だ。
その「自分の席に」行こうとはしない。(と言っても、大教室で自由席)(祐君の隣は私限定だけど)
「あの・・・祐君」(何?また?)(あなた、しつこい!)
「はい」(祐君も面倒そうな顔)(あれ?ハンカチで鼻を抑えている)
「隣に座っても?」(はぁ?・・・どういうこと?)
「隣は、勘弁して・・・できれば、離れて欲しい」(祐君?また、フルの?みんなの前で)
「匂いがきつくて、頭痛になる」(そうか・・・きつい香水か)
「そもそも、香水の講義でなくて、経済思想史で」(そのものズバリ!経済思想史に香水の記述はないし)
「・・・ごめんなさい・・・」(ようやく、田中朱里さんは、祐君から離れた)
「何で大学の講義で、きつい香水をつけるのかな」
「言い方、強すぎたかな」(祐君は、少し気にしている)
「いいの、あの子が変」
「祐君が正論」
私は、祐君の、こういうキッパリ感も大好きだ。
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