第174話田中朱里の反省と再チャレンジ開始

容姿について、(名古屋においては身分も)超Aクラスを自認する、私、田中朱里にとって、まさに信じられない現実の連続である。

まず、周囲の他の大学生たちは、すれ違うたびに、チラチラと私を見て来るのに、祐君はまるで無関心。(声をかけて、見てくださいの雰囲気を送っても、まるで反応なしだ・・・)

(超有名写真家森田哲夫さんの助手をしていたよね・・・もしかして美女慣れ?美少女慣れ?)

この自認Aクラスの私自らデートに誘った(名古屋では、相手がお願いをして来た(それも、お家柄も、ご学歴も、お仕事も名古屋では超エリート!)というのに、軽く二回ともスルーだ。


でも、祐君と腕を組んでいた女子学生は・・・顔は、まあまあ・・・胸は負けた・・・それ以外は、十人並みだよ?(え?何故?どうして、そんな女に私が負けるの?負けなくてはならないの?)

それを思うと、首を傾げるしかない。


祐君が、おばあ様の発言を覚えていない、気にしていない・・・は、朗報だった。(ほんとうに、安心した)

「香水の付け過ぎ」は・・・自分で「クンクン」して・・・「あっ」と理解、反省した。(祐君に謝りたくて、緊張して眠れなくて、つい気張ってしまった・・・私の凡ミスだ)

でも、祐君は、しっかり指摘してくれて、うれしかった。(今まで、そんなことを言ってくれた男の人は、一人もいなかった。デート希望、お付き合い希望の、下心見え見えの、低姿勢男ばかりだったから・・・マジにウザくてキモかった)


・・・で・・・ますます祐君を欲しくなった。


祐君なら、容姿も身分も関係なく、私を見てくれる、と思った。

(そういう人と、お付き合いしたいの、私は・・・だから名古屋には帰りたくない)


「次の作戦は何か・・・」

「食事は、難しい・・・小食男子だから」

「あの隣の女には胸で負けるから、脚で勝負するかな・・・でも美少女モデルにも慣れているかなあ・・・そこまでの美脚でもないし」

「何かないかな・・・身分は、都内では通用しないし・・・」


でも、自分でも難しい、と思った。

「名古屋嬢が通用するのは、名古屋だけ」

「その上、容姿も身分も関心を示さない祐君だよ」


「でも・・・諦めたくない・・・祐君が欲しい」

「あの笑顔・・・宝石だもの」


田中朱里が、結局、決めたのは、定番の「諦めないで何度も、声をかける」だった。

「祐君が言っていた3時からの講義は・・・万葉集だよね」


「ダッシュで家に帰って着替える」

「香水は、淡いものにする」


田中朱里は、そう思ったら、元気が出て来た。

周囲の目は気にならない。

ダッシュでキャンパスを駆け抜けるのであった。


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