第125話風岡春奈の決意
私、風岡春奈は、できることなら、祐君と一緒に帰りたかった。(純子と真由美を押しのけて)
祐君は、「弟にしたい」と思っていたけれど、気が変わった。
稀に見る才能に惚れた、それだけではない。
押し倒しても、「嫌だ!」と言われても、自分のものにしたくなった。
実際、アパートで見た時から、とんでもないフェロモンを祐君に感じ続けていた。(押し倒したかったかも)
(祐君が、純子と真由美と一緒の時間が惜しい、独占したい)
しかし、恵子先生が「残って」と言うのだから、しかたがない。
恵子先生も、祐君に興奮していたことは(稀に見る才能を感じたと思う)、わかっていた。
だから、その気持ちも「聞いてあげないと」と、思った(弟子として)。
平井恵子
「ブログで書いているのは、祐君の持っているものの半分もないのね」
「ここまで理解がすごいとは、読めなかった」(先生は、少々興奮気味、いつもは私に冷ややかなのに)
「そうですね、ブログだと、和歌とか源氏、枕に全く知識がない人も読む可能性がある」
「だから、あまり突っ込んだことも書けないのかも」
平井恵子は頷く。
「そうね、それが難しいの」
「古典が、どれほど素敵、と思っても」
「そもそも生活空間も違う、よほどの文の力がないと、今の人は読まない」
「そして、そんな文を書く人もいない」
「だから、文科省も、人も予算も減らす」
「日本の古典文学なんて、どうでもいい、と思っている」(先生は饒舌になって来た)
「祐君は、本物です」
「他には進ませたくないなと」
平井恵子は、少し難しい顔。
「祐君は、秋山先生にも、誘われているの」
「若菜上を考えて欲しいと」
「あれは・・・私でも、表現できない」(先生は、ため息をつく)
「うーん・・・祐君、倒れるかな」
「今日も、顔が蒼くて」(マジに不安になって来た)
平井恵子
「彰子先生に聞いたら、簡単な味付けのものが好きみたい」
「凝ったものとか、こってり系は食べないとか、残すとか」
「今日も鮭と葉唐辛子だった、実にシンプル」
「連絡を取って、時々何か持って行きます」
平井恵子は、ようやく微笑んだ。
「お願いします」
「とにかく、大切に育てたいの」
「はい、必ず」
(私は、この時点で、気持ちを固めた)
(祐君なしの、今後は、全く考えられない)
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