第106話私と明太子女は、祐君のお手伝いをすることになった。
私、純子は、祐君の疲れた顔が可哀想だった。(よしよし、と抱きしめたいけれど、明太子女が邪魔だ!)
歩き方も、いつものスタスタではない、トボトボだ。(とにかく、ずっしりと重い荷物を背負っている感じ)
「ねえ、祐君、喫茶店にするの?」
祐君
「ケーキ食べたいって言うより、少し頭を整理したい」
「この場所も変えたい」
明太子女は予想外のことを言い出した。
「電車に乗って、どこかに行く?」
祐君は「え?」とだけ。(やはり予想外だったらしい)
すぐに答えた。
「ただ、あまり遠くに行けない、時間もないので」
おそらく、平井先生から、何か課題、宿題のようなものを言いわたされた、とピンと来た。
「何か手伝えることがあればいいけれど」(そうは言っても、難しそうだ)
祐君は、歩きながら、ポツリ。
「うーん・・・」
「なくはないです」
明太子女が、すぐに飛びつく。(せっつき過ぎかも!)
「と言うと、何?」
祐君
「長文の古文を現代語訳、それも短い時間で、なので」
「校正、誤字脱字の点検をしてくれる人」
今度は私が先手を取る。
「わかった、まかせて」(明太子女の悔しそうな顔が、楽しい!)
祐君は、うれしそうな顔。
「助かります、大変ですが、心強いです」
「はぁ・・・ホッとしました」
しかし、明太子女が、また、しゃしゃりでる。
「私も、点検していいかな、二人でやれば完璧と思うから」
祐君は、また考えた。
「うーん・・・迷惑でなければ」
明太子女はニマニマとしている。(なかなか追い払えないな)
「全然、迷惑でないよ、祐君の、平井大先生の役に立てるとあらば」
そんな歩きをしていると、芦花公園に近くなって来た。
祐君は、柔らかな顔に戻った。
「ケーキが食べられるお店を探しましょう」
「うん!」(悔しいことに、私と明太子女は同時だった)
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