第104話風岡春奈も、実は、祐のフォロワーだった。
私。風岡春奈が祐君の部屋に残るのは、平井先生との打ち合わせ通り。
先生の下北沢のご自宅と、私の調布のアパートとは、逆方向ということもある。
しかし、何より、興味深いブログを書いていた「森田祐」の「人となり」を、理解したかったのが本当の理由。(私は、森田祐のブログを数ヶ月前に、何気なく知り、実は熱烈なフォロワーで、とにかく更新を楽しみにしていた人なのだから)
(もちろん、先生に祐君のブログを教えたのも、私)
目の前で見た「森田祐」は、実に謙虚で、美顔。(肌も白いし、何とも言えない色気もある)
でも、可愛過ぎて、「彼氏」にしようとは思わない。
できれば「弟」にして、「あれこれ言ったり、お世話をしたくなる」、そんな感じ。
ただ、今回の「古今和歌集の本作成」は、祐君がポロッと言ったとおり、本当に難事業。
だから、祐君の部屋に残ったのは、「難事業のパートナー」としての、「本気度」を確認したかった。
(急に聞かれても、祐君は。答えに困るだろうと思ったけれど)
「それでね、祐君」
私は、数センチ、祐君に身を近づけた。
「はい」(祐君は、顔を少し赤らめた)
「私からの提案だよ」(先生の家で混乱しないように、役割分担を決めておこうと思った)
「はい」(祐君は、顔がキュッと引き締まった。かなりゾクッとする色気がある)
「先生と私が、点検するとして、現代語訳は祐君に任せたいの」
「万葉集とか古今、その他の勅撰、私選和歌集との関係」
「源氏とか、枕への関係は、私が集める」
祐君は、私の顔をじっと見た。(すごくドキドキする)
「かまいません、やります」
少し、間を置いた。
「それで、厄介なのが、真名序と仮名序なんです」
「歌から現代語訳します?それも何か・・・」
私も、それには頷く。
「確かに、そうね」
「仮名序を訳して、注釈するだけで、一苦労かな」
祐君は、書棚から、岩波版の古今を取り出し、広げた。
「貫之の名文ですが」
「うん」(祐君の真面目顔は、本当に・・・いい感じ・・・ずっと見ていたい)
祐君は、「ふう」と一息。
そして、ふわっと微笑んだ。(この時、祐君の顔が、輝いたような感じ)
「やるしかないかな・・・名文にチャレンジしようかな」
「うん・・・期待しています」(私は、この時の祐君の顔、言葉を聞き、腰が抜けるほどワクワクしていた)
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