第58話祐と純子の横浜デート(5)

私、純子にとって、初めての中華街は、まさに異世界だった。

しかも、祐君と初めての異世界なのだから、テンションはあがりっぱなしだ。

「面白い!楽しい!へえ!」

見るもの全てが、新鮮で、とても日本にいるとは思えない。

天津甘栗も、差し出されるたびに、必ず口に入れるし、ついに買ってしまうし。


祐君は、そんな子供みたいな私を、ふんわりやさしく見ている(どっちが年上か、全くわからない・・・)

このハイテンションで、占い(もちろん、恋占い)にもチャレンジ!(メチャ、ドキドキしたけれど)

結果は・・・「お連れの男の子と・・・一生かな、添い遂げます、すごいご縁です」

(はぁ・・・でも、祐君には内緒・・・身体で結果を伝えた、メチャ密着した!)


祐君は真っ赤な顔。

「すぐ先に、珍しいパンが売っています」


「へえ・・・見たい!食べたい!」(甘栗食べ過ぎなのに・・・ダイエットは放棄した)


「油パン、朝粥に入れると美味しい」

「胡麻とネギのパンは、素朴に美味しい」

「中華風のおやきもあります」


そんなことを言うから、全部買ってしまった。(マジに太るかな・・・でも、祐君と食べるからいいや)


あちこちの店を楽しみながら、祐君と、こぶりの中華料理店に入った。

「あまり観光客は入りません」

「それだから、手抜きをしないで、しっかり作ってくれます」


二人で選んだメニューは、

・野菜スープ(ダイエットを意識したわけではない、でも、滋味あふれる味)

・鮑の炒め物(これはマジに美味しかった)

・海老チリソース炒め(ピリ辛が絶妙、飽きが来ない味)

・翡翠炒飯(緑色のスープ炒飯。ほうれん草を使うとのこと。これも絶品)

・杏仁豆腐(口がサッパリした、久しぶりで美味しかった)


「今回は、僕が」

祐君は、サッと支払いを済ます。(かっこいい!)


店を出て、

「美味しかった、本当に、祐君ありがとう」(本音だった、うれしかったし・・・これは私が餌付けされたかも)


「いえいえ、純子さんには、お礼を言いきれません」(その愛くるしい顔で言われると・・・またふわふわトロトロが・・・あかん!)

「元町は近いの?」(何とか、平常心になりたかった)


「はい、この道をまっすぐ、5分もかかりません」(すっと手を握って来るから、平常心は空に飛んだ・・・ふわふわトロトロと言うより、ヨタヨタ歩きになるよ・・・祐君!)


確かに、5分もかからなかった。

道路を渡り、狭い道を少し歩くと・・・「え?」これも憧れの「横浜元町」が広がっている。


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