第57話祐と純子の横浜デート(4)

シーバスは、山下公園に到着した。


「短い船旅でしたが」

純子

「でも、楽しかった、気持ちがウキウキしたよ」

「奈良育ちで、こういう経験は初めて」


地上に降り立つと、祐は目の前に見える景色を説明。

「右手のほうには、赤レンガ倉庫、今はお店になっています」

「左手のほうは、港の見える丘公園につながる道」

「正面には、かのマッカーサーが泊ったホテルニューグランド」

「マリンタワーや、人形の家博物館」

「まっすぐ進むと、中華街です」


純子は、静岡育ちの祐が横浜に詳しいことが、少々疑問。

「どうして、そんなに知っているの?」


祐は、少し顔を曇らせた。

「土日は、実家にいられない状態が続いて」

「朝早く家を出て、都内とか、横浜、鎌倉に」


純子は、「はっ」と思い当たった。

「例の、ストーカー対策?」


祐は頷く。

「警察にも相談して、姿を隠していました」


純子

「警察も、そんな感じだったんだ・・・酷い迷惑だね」


「後をつけるとかだけで、何もしてこないので、気持ちが悪ければ、逃げるしかないかなと」


純子

「その話はよそうよ」

「私が、祐君を守る」

「嫌って言っても、守る」


祐は、顔を赤らめる。

「ありがとうございます」


二人の目の前に、中華街が見えて来た。


「凄い雑踏ですね」

純子は驚いた顔。

「神戸にも南京町があるけれど、レベルが違う」

「迷子にならないように」


純子は、何もためらわない。

グイッと祐と腕を組む。

「当たり過ぎかな」と思う程に、密着している。


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