第56話祐と純子の横浜デート(3)

「このまま乗っていれば、元町・中華街の駅に着くけれど」

祐君は、私の顔を見た。(・・・それが危険・・・やばくなる・・・トロトロなんだから!)


「うん・・・任せます」(それしか言えません・・・)


「横浜でおりて、少し高くなるけれど、船に乗りませんか?」(その愛くるしい顔、クリクリお目目は・・・抵抗できません)


「船?へえ・・・乗ったことがほとんどない」(海がない奈良育ちだし)

「乗ってみたい!」(祐君と船旅なんて、いい感じだ)


とのことで、横浜駅で降りて、横浜そごうを通り抜け(大きなデパート?これも奈良には無いお洒落感だ)、シーバスに乗った。


横浜港に関する様々なアナウンスを聞いたり、憧れのみなとみらい地区を見るけれど、私の身体は、祐君にピタリ(離れません、いい感じだし)


「海の風も好きです、ワクワクする、スッとする」

「長い航海を終えて、港横浜に来た人、帰って来た人」

「あるいは、ここから出航して行く人の、高揚感」

「いろんな気持ちを、この風に感じます」


「祐君・・・すごくいい感じ・・・」

「そう言われると、そうね」(電車だけなら感じなかった、確かに)

「本当に海の風っていいね」


「もう山下公園が見えて来ました」

「まっすぐ歩くと、中華街かな」(祐君は、クスッと笑う)


「中華街?え?そんなに近いの?」


「中華街から、元町に抜けるのも簡単です」

「ゆっくり行きましょう」


「うん!ワクワク!」

私は、そのまま祐君の手をしっかり握った。


「迷子にならないようにお願い!」


「離しません、純子さん」

祐君も、私の手をキュッと握った。

この時点で、また私の「ふわふわ、トロトロ感」は、危険なまでに高まっている。

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