第52話イライラの美咲に、面倒な事態が発生

私、美咲は、実にイライラしているし、その上に面倒な事態となってしまった。

まず、イライラの原因は、恵美から祐さんへの「面会禁止」を言い渡されたこと。


「祐ちゃんは、体調を崩してしまった」

「体力があまりなくて繊細だから長引く」

「美咲も、当面、デートとかで神経とか体力を使わせないで欲しい」


そんな一方的に言われたとしても(だったら最初から祐さんを紹介しなければいいのに!)

私としては、逢えない、あの美形と上品な雰囲気を味わえないなんて、全く納得できないのである。


しかし、悪い時には、悪いことが重なるものだ。

もう、とっくに「三下り半」を下した、(キッパリとあなたの誘いには乗りません、と言い渡した)、野球部の健治が、また誘いの言葉をかけて来たのである。


「いいから来いよ、美咲!」

「今から、お前の家に行く」

「部員たちも連れて行くから」

「お前も、ダチを連れて来い」

「そうだな、3人から4人」

「カラオケで騒ごう」

「いいか、居留守使ったら、家の前で大騒ぎするぞ」


相も変わらずの「強引な、相手の都合など全く考えない」「体育会特有の俺様感覚」そのものである。


「下手に断って、家の前で騒がれてもなあ・・・」

「あいつら、マジにやるかも(実際3回くらい、やられたし)」


そのうえ、健治は「とにかく、しつこい粘着気質」だ。

断っても断っても、誘いの言葉をかけて来る(だから嫌いなのに!)


「はあ・・・どうしよう・・・」

「ここで断っても、学校で声かけて来るよね」

「面倒だなあ・・・」


私は、結局、祐さんの家に行くことを諦めた。

そして、仕方なく、友達を誘って(恵美からは、完全キャンセル)、健治の誘いに乗ることになった。


ただ・・・それが、後々、ますます、「とんでもない」事態の原因となるのである。

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