第51話恵美の報告と美咲対策

私、恵美は、祐君のアパートを出て、早速、電話で状況報告を行った。

報告先は、祐君のお母さんの彰子叔母さんと私の母美智代。

まず、彰子叔母さんは、本当に驚いた声。

「あら・・・あの和菓子屋さんの?」

「そうなんだ、奈良ではお母さんにお世話になって」

「東京に出たら、娘さんに?」

「いいご縁ね、大切にしないと」

「うん、あの和菓子屋さんは、私もお気に入り、仕事がしっかりしていて」

「お母さんとも、御主人とも若い頃から、懇意なの」

「ありがとうね、恵美ちゃん、本当に安心しました」(ほめられてしまった!)

「私からも、奈良の和菓子屋さんに電話をしておきます」


母美智代も、喜んだ声。

「それは良かった」

「祐君は繊細なところがあるから、そういう安心できる女性が近くにいる方がいいかな」

「それにしても、不思議なご縁ね、大切にしないと」

「恵美も、珍しくよくやった」(その、珍しくって、何?と思ったけれど、母の言葉は続く)

「そうなると、美咲ちゃんが厄介・・・と言うか、勇み足だったかな」

「面会禁止も、何時まで持つか」

「祐君が三角関係で苦しんでも・・・それは困る」

「恵美も困るよね」


「・・・そうだね」(私も、母と全く同じ思い)

「また、釘を刺すかな」(それしか、思い浮かばない)


「うーん・・・あまり刺激すると、かえって夢中になるかも」

「逢えない恋は、逆に燃え上がるから」(母にしては、ロマンチックなことを言う)


「どうしよう・・・」

「祐君は、美咲に興味はないみたい」

「追いかけられて、私の友人だから会っただけと」

「祐君から美咲に声はかけないと言っていた」


「そうなると・・・その純子さんにも、それとなく」

「難しいけれど・・・恵美・・・」

「祐君が困る前に」

「紹介した恵美の責任もあるよ」


母美智代は、実に難しいことを言う。

しかし、祐君に言わせるのも「酷」と思った。

私は、純子さんに、素直に「白状」することにした。

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