第31話一つのベッドで一晩を

私、純子は祐君を抱き抱えた。(それほどに辛そうな顔をしていたから)

祐君も全く抵抗はしなかった(余裕が無くて、出来なかったのかもしれない)


「とにかく横になる?」


「ごめんなさい、身体が変、寒くてフラフラして眩暈が強くて」(祐君の声は小さい)


「温かい飲み物が必要、すぐに出すよ」

有無を言わせず、私の部屋に入れて、私のベッドに祐君を寝かせた。

(祐君の部屋は暖まっていないし、食材もない、決して下心はない!)


私は母直伝の玉子酒(玉子L玉2個、白だし小さじ1、日本酒大さじ1.5)を作って祐君に。

祐君は青白い顔で「ありがとうございます、美味しいです」フゥフゥと飲む。


事情は聞かなかった。(祐君は、あっという間に眠ってしまったし)

とにかく、祐君を「こんなに弱らせることがあった」と理解した。


実際、すやすやと寝息を立てる祐君も可愛かった。

見ていて、全く飽きない。

お人形さんが眠っているみたいな感じ。


途中から、汗をかき出したので、拭いてあげた。

「きれいな肌だなあ」

「役得かな・・・これ・・・」(ヨダレは出していません!)


祐君が「うーん・・・」と目を開けたのは、午後8時頃。

すごく可愛かった。


「あ・・・え?・・・ここ・・・」

「純子さんの?ごめんなさい」(祐君の慌てぶりも絵になる!)


「少しはよくなったの?」(そう言いながら、私はすり寄るのだ)


「あ・・・はい・・・かなり」

そのままベッドからおりようとするけれど、祐君・・・足がふらつく。


「もう少し寝てなさい」(これには下心があった!)


祐君は「ごめんなさい」と、またベッドに横になる。(私は、この時がチャンスと思った)

そのまま、私もベッドに、祐君を横抱きにした(恥ずかしいけれど、私の身体で祐君を温めたかった)


祐君の声がかすれた。

「純子さん・・・あの・・・」


私は、身体を押し付けた。

「いいの、私がこうしたい・・・嫌?」


祐君の返事に間があった。

「ありがとうございます・・・ホッとします」

私は、祐君の答えが面白いし、抱き合っているので、「ほんわか」となってしまった。


・・・で・・・結局、二人で抱き合ったまま、一晩を過ごしたのである。


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