第30話「私が祐君を暖かくする!」純子の思い

私、純子は、買い物をして帰って来た後、全く気持ちが落ち着かない。

午前中は可奈子がいて、くだらないことで気が紛れてはいたけれど。


とにかく、隣の祐君がいないのが、気にかかる。

「いったい、どこに行ったの?」

「そんなに東京が詳しいの?」

「それとも、誰かとデート?」

したくもない「妄想」まで浮かんで来るから、辛くて仕方がない。


でも、不思議なもので、可愛い祐君を甘えさせたくて仕方ない、そんな気持ちも強い。

ムギュッと抱きしめて、「苦しいって言わせたい」もある(やばいくらいにドキドキするけれど)


私は、そんな悶々とした数時間を過ごし、それでも祐君が帰って来ないことに不安。


「探しに行こうかな」

「でも、すれ違いも嫌だ」


なので、夕方からは、ずっと窓から外を見ていた。


・・・そしたら、春の夕暮れ、冷たい風が少し強めに吹く中、祐君が歩いて来る。


でも・・・祐君が、少し変。

顔が赤いし、足もフラフラしている。

「風邪引いたの?苦しいの?」


私は、待ってはいられなかった。

ドアから飛び出して、祐君を手招きした。

「何があってもいい!」

「私が祐君を暖かくする!」

それしか考えていなかった。

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