第23話美咲は祐を追いかける
美咲は、昨日の夜、祐の手を握ったことに、今も胸がドキドキしている。
「すごく細くて長くて、きれいな指」
「お顔も、お人形さんみたいで可愛い、上品」
「いい雰囲気・・・また一緒に歩きたい」
そう思うと、どうしても祐に逢いたくなった。
逢えなかったら、せめて声でも、と思った。
「祐さん、おはようございます」
「今はどちらに?」とメッセを送った。
・・・しかし・・・5分待っても既読がつかない。
美咲は、少し焦って、心配になった。
「夜、寒かったから風邪引いたとか」
「お薬飲んだかな・・・お見舞いしないと」
しかし、やはり恵美に相談しようと思った。
「ねえ、恵美、祐さんにメッセ送ったけれど、既読がつかない」
「昨日の夜、寒かったから風邪かな、お見舞いしたい」
恵美はプッと笑い声。
「そんなことないって」
「今は神保町かな。さっき連絡したの」
「もしかすると駅でやかましくて気づいていないかも」
「真面目だから連絡あるよ」
「私はあんな難しそうな本だらけの町は無理」
美咲はホッとした。
ホッとした途端に、神保町に行きたくなった。
とにかく、祐に逢いたくて仕方がない。
「わかった、それじゃ、祐さんから連絡あるかも」
とあっさりと会話を終える。
恵美は、そんな美咲に、少し不安。
「無理やり押し掛ける?祐ちゃんは大変かも」
「美咲は夢中になるタイプ、祐ちゃんは引くタイプ」
「だから追いかけるし、追いかけられるのか」
さて、その祐はすずらん通りを歩き、古書店を何店か散策後、コンビニに入った。
目的は、のど飴を買うこと。
おサイフケータイを使おうと、スマホを鞄から取り出した時に、美咲からのメッセージに気がついた。
「やばい・・・気がつかなった」
「でも20分前か・・・まだ何とか」
祐は、美咲に返信した。
「おはようございます。昨晩はありがとうございました」
「今は神保町におります」
美咲からの返信が速かった。
「今からそちらに・・・よろしいでしょうか?」
「20分ぐらいで、私、白金高輪です」
祐は「少し面倒」と思ったけれど、恵美の友達とかブログの読み手を意識した。
「わかりました、東京堂でお待ちしております」
と返信。
美咲からは、ハートが山盛りのスタンプ。
祐は、動揺のあまり、のど飴を買うことを忘れてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます