第24話美咲の決意

美咲は恵美から「祐のストーカー被害」の話を聞いていた。

聞いたのは、昨夜、家に戻ってから。


恵美からは「祐ちゃんとお付き合いしたいなら、知っておいて」とのこと。


美咲は、祐にストーカーした女の子と母親に、とにかく腹が立った。

「一方的に付きまとって拒絶されたら、母親も加わって祐さんを責めたの?」


恵美の声も湿った。

「たまたまだけどね、祐ちゃんの高校に、幼なじみの子が引っ越しして入ったの」

「その子の情報だと、ストーカー女子が悪いということは、クラス中どころか学校中の女子も男子も知っていて、一度祐ちゃんのクラスの女子が集まってストーカー女子を叱ったんだって」

「でも、全く聞く耳を持たない、私の勝手でしょ、と逆ギレ」

「そんなことが続いて、祐ちゃんは胃を壊して入院・・・お見舞いに行ったら、酷く痩せて」

「もしかすると、トラウマになっているかも」


美咲は少し声を強くして、恵美に返した。

「私、絶対、祐さんにそんな思いをさせない」

「祐さんを笑顔にさせる女になる」

「それは誓うよ、信じて」


恵美も強めの声。

「うん、美咲なら、大丈夫」

「だから呼んで紹介したの」


そんなことを思い出していたら、「神保町」のコール。

美咲は、大きく息を吐いた。

「よし!絶対に祐さんと楽しく過ごす」


ホームに降りたら、足が軽い。

「祐さん、待ってて!美咲が行くよ!」と小走りになる。


「今、神保町に着きました」のメッセージも忘れない。

祐からの「お待ちしています」の文字だけの返信もうれしい。


「スタンプを教えよう、憧れの祐さんに」

美咲は駅を出て、祐が待つ東京堂書店に一目散に向かう。


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