第15話美咲は積極的な性格 祐は押されるばかり
美咲は、積極的な性格のようで、祐に頻繁に話しかける。
「祐さんは、どんな音楽がお好きです?」
祐は、押され気味に答える。
「えっと、演歌以外は何とか」
美咲は、祐のシンプルな答えが気に入ったようで、花のような笑顔。
「へえ、私と一緒ですね」
「コンサートに行きたいなあ、祐さんと一緒に」
祐は、少し引く。
「まだ、東京に出て来たばかりで・・・乗り換えも何も迷いそうで」
「目的地にたどり着くまでが大変かなと」
その祐を恵美が笑う。
「だから、美咲ちゃんを紹介したの」
「美咲ちゃんは、小さなころからピアノが上手、あちこちのホールにも詳しい」
叔母美智代は、祐の「引き気味」には構わず、祐の過去も暴露する。
「あのね、こんな大人しい顔の祐ちゃんだけど、ヴァイオリンが上手なの」
「高校2年まで先生についていたよね」
美咲の顔が、ますます明るくなる。
「ねえ、祐さん、デュオしましょうよ」
祐は、ここでまた引く。
「いや・・・あの・・・受験で随分楽器には触っていなくて」
しかし、美咲は引き下がらない。
祐の手首をいきなり握って、指を見る。
「祐さん、指が長くてきれいです」
「指だけでも、モデルになれます」
恵美が、その美咲と祐を見て笑う。
「美咲ちゃん、強いなあ、押しまくり?」
「東京に出たばかりの祐ちゃんを無理やりにゲット狙う?」
美咲は、祐の手首を握ったまま、笑顔で反応。
「うん、祐さんとは、源氏でも音楽でも話が合うと思うの」
「そんな人っていないもの」
そこまで言われて、祐はようやく反応。
「恵美ちゃんも美咲さんも、高校3年生」
「今年は受験で忙しいはず」
「とてもコンサートなんて難しいのでは?」
恵美は、祐の問いに、笑って首を横に振る。
「私も美咲も、祐ちゃんの大学の付属高校なの」
「成績は問題ないの、だから、来年は同じ大学」
美咲は、ますます笑顔になり、祐から手を離さない。
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