第14話 祐の歓迎会 美咲が同席する理由
祐の歓迎会は、叔父夫婦が経営する日本橋の割烹料理店。
用意された個室に入ると、叔母美智代が満面の笑顔で祐をお出迎え。
「うわー・・・素敵ねえ!祐ちゃん」
「イケメンで雰囲気があって!」
祐は、照れた顔。
「母からです」と、鞄から土産の静岡茶が入った箱を渡す。
叔母美智代は、ますますの笑顔。
「そう!さすが姉さんと祐ちゃん、この静岡茶の茶葉が好きなの!」
「気が利く・・・本当に」
奥から叔父良夫が顔を出した。
「おお!祐君、待ち焦がれたよ。今夜はたくさん食べて行ってね」
「食べ残しは、許さないよ」と笑う。
祐は、ここでも素直。
「はい」と笑顔で頷き、席に着く。
尚、祐の前には、叔母美智代と恵美が座り、祐の隣には美咲が座った。
叔母美智代が、恵美を少し見て、「事情」を話す。
「美咲ちゃんは恵美のお友達で、どうしても祐君に逢いたいって話」
「もう、せがんで来るから、断り切れなくて」
祐は、返事が難しい、少しだけ笑顔を見せるだけ。
そんな状態で歓迎会が始まり、祐の子供の頃の話、恵美と遊園地に行った話など、食事を楽しみながら、特に女性たちの話が弾む。
叔母美智代
「祐ちゃんは、子供の頃から、モデルみたいなお顔」
恵美
「そうなの、一緒に歩くのが好きだった」
「でも、ジェットコースターは大の苦手、何時もしり込み」
美咲
「今でもですか?」
祐は苦しい顔。
「遊園地そのものに行かないので、わかりません」
恵美
「祐ちゃんは、高校生の時は、美術部だよね」
「今度、モデルにして」
叔母美智代
「恵美は、もう少し痩せてから・・・今はお団子みたい」
恵美はムッとした顔。
「それは祐ちゃんが調整するの」
美咲は口を押えて笑い、祐は少し笑うだけ。
叔母美智代が話題を変えた。
「祐ちゃんは、読書家でもあるよね、たくさん読んでいる」
「姐さんの教えでしょ?」
恵美も頷く。
「そうだよね、彰子叔母さんは古文の専門家だもの」
祐は、これには反応。
「そうかな・・・母には厳しく・・・言われて」
「日本人なら、万葉集、古今和歌集、源氏物語、枕草子、方丈記、徒然草は必ず読みなさいと、子供の頃から」
「最初は面倒だったけれど、今は、それが好きになりました」
祐の言葉に、まず恵美が反応。
「それでね、祐ちゃん、そこで美咲ちゃんなの」
その恵美の言葉に、叔母美智代が笑う。
「それじゃ、祐君がわからないわよ。我が娘ながら、はしょり過ぎ」
恵美が「うっ」と話に詰まると、美咲が赤い顔。
「あの・・・祐さん・・・私も源氏が好きなんです」
「それで、今日も押し掛けて」
祐は、「はぁ・・・」と、少し困った顔になっている。
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