第4話純子と祐の初デート(3)

さて、私と祐君が住むアパートは、世田谷区千歳烏山にある。

そのアパートからは徒歩数分で庶民的な商店街が広がっている。


祐君は、いろいろ見ながら歩いている。

「大きなスーパーもありますし、個人商店も多い、便利な街と思います」

私は、その言葉がうれしかった。

まるで私が褒められたような思いだ。(一年間先に住んでいたに過ぎないけれど)


その後少し歩いて、私は祐君の目が「食べ物屋にあちこち」に気がついたので

「祐君、お腹減ったの?」


すると祐君は、やはり素直。

「はい、美味しそうなお店ばかりで」

「どこかに入りたいなあと」


この素直さが、私はうれしくてたまらない。

「やった!ついに祐君とお食事デートゲット!」と声に出しそうなほど。


でも・・・ここで考えた。

「美味しいお店は当然、祐君が喜ぶようなお店にしないと・・・」

「街中華?庶民的過ぎるし」

「蕎麦屋?年寄りっぽいなあ」

「パスタ屋?賑やか過ぎて、祐君との会話が楽しめない」

「・・・焦る・・・でも・・・何とかしないと・・・」


その上、祐君は、可愛いお顔で聞いて来た。

「純子さんのおすすめの店はありますか?」


私は、焦っているので、なかなか答えられない。


すると祐君は恥ずかしそうなお顔。

「もし、よろしかったら・・・あそこに見えるフレンチのお店」

「そこでランチを食べませんか?」


私は、ためらうことなど無理。

「うん!あそこで!」

(実は憧れていたお洒落なフレンチだった)


そんなことで、優柔不断な私は、最初のデートから祐君にリードを許してしまっているのである。

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