第3話純子と祐の初デート(2)

さて、祐君と歩き始めた私純子は、ちょっと足がフワフワしている。

「私の方が一つお姉さんなのに」と思うけれど、祐君の横顔も、実に可愛いから、やはり落ち着かない。


それでも、何か祐君の気を引く話題は・・・と思うけれど・・・「いいお天気ね」と言うのも、あまりにも陳腐で口に出せない。


その祐君が、アパートの駐車場の出口あたりで、突然立ち止まった。

キョロキョロしているけれど。何だろう。

そこで私は思った。

お姉さんの私の出番と思った。

「ねえ、祐君、何を探しているの?何かあったの?」


すると祐君はメチャ可愛い赤い恥ずかしそうな顔。

「あの・・・引っ越しの段ボールを処分したいのですが・・・そういう場所を」


私は、この言葉が不思議にうれしかった。

恋とか愛につながる言葉では、全くない。

いかにも現実的で、普通に考えれば、面白くも何ともない。

しかし、祐君は、真面目に「ありうる現実的なこと」を。「この私を頼って」聞いてくれた。

だから、私は、できるだけ丁寧に教えてあげた。

「えーとね、今週の水曜日に段ボールとか、ペットボトル、空き缶、新聞紙も回収日」

「駐車場を出たすぐ先に集積場があるの」


すると・・・祐君は。実にホッとした嬉しそうな顔。

「ありがとうございます!純子さん・・・それがわからなくて、困っていたんです。本当に助かりました」


・・・私は、祐君の可愛い顔と言葉に、胸がキュンキュン状態。

「え・・・あ・・・そこまで?うん・・・」

「困ったことがあれば、何でも聞いてね」


祐君は、ここでも嬉しそうな恥ずかしそうな顔をするので、また胸のキュンキュンが激しい。

「出来れば、あのきれいな手を握りたい!」と思ったけれど、それはまだ恥ずかしい。

だから、少し、そっと祐君に身を寄せ、「街案内するね」声がメチャ震えた。


祐君は「はい」と素直で可愛い声。


私は、それにもドキンとした。

「ちょっとおさまらなくなる・・・」と内心、思ったけれど「何がおさまらない?」で顔が赤くなった。


「赤い顔」の私と、「色白」の祐君なので、「どっちが年上かわからない」けれど、この状態で初の祐君との街歩きデートが始まったのである。


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