第2話純子と祐の初デート(1)

さて、祐はあれこれとしなければならないことがある。

「まず、引っ越し荷物だ」

「この段ボールの山を何とかしないと」

懸命に作業をこなし、ようやく落ち着いたのは、約3時間後の午前11時半。

「空き段ボールを捨てるのはどこ?」

「ゴミ置き場かな?そうなんだろうけど」

「今日でもいいのかな」

「決まった日があるのかな」

でも、隣の純子さんに「お聞きする」のは、恥ずかしい。

「そんなことを聞いて来るの?」なんて言われるとか、思われたりするのは、避けたい。

祐は少し考えてから決断した。

「ゴミ置き場に行けば、書いてあるかもしれない」

「お昼時で、外食にいくついでに見ればいいや、ついでに街の様子を知りたい」

そう決めて、祐がアパートの外に出た時だった。


隣の部屋のドアが開き、純子が顔を出した。

「あ・・・祐君?」

「よく眠れた?」


祐は少し焦って顔を赤くする。

「はい・・・」

「ご心配ありがとうございます」


純子は、笑顔。

「これから、お出かけ?」


祐は素直な返事。

「はい、この街に慣れていないので、散歩しながら覚えようかと」


その返事に純子は、ますますニンマリ顔。

「うん、それじゃ、一緒に行こう、案内してあげる!」


祐には、断る理由も考える時間もなかった。

そして、これが純子と祐の「初デート」になるのである。

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