【百合・1シチュエーション】あなたが目を覚ますまで、何度だって愛を伝えよう【フリー台本】
つづり
あなたが目を覚ますまで、何度だって愛を伝えよう
(ため息)おはよ・・・ごめんね、今日は遅くなっちゃった。なんていうかね、恥ずかしいんだけど、朝起きれなくて。
夢の中であなたが、私にカレーを作ってた、野菜嫌いの私のためにいっぱい野菜を刻んだやつ。玉ねぎだけで、良かったのにって思うんだけど、夢の中なのに食べちゃった。美味しかったよ、夢の中で味がするなんて、不思議な感じだけど
最近眠りがどんどん深くなってね・・・仕事に影響しそうで心配、ほら稼がなきゃ生きてけないしね。でも夢の中があまりに楽しくて、どっちが私にとって「いい世界」なんだろう。
ああ、もう、はずかし・・・またやっちゃった。ぶつぶつ考えを独り言のように言うの。あなたに怒られちゃうわね
・・・今日は花をかざったの、お見舞いによくないってわかってるけど、とてもいい香りの花でね、あなたに感じてほしかった。
こんこんと二年も眠って・・・こんなに身体が細くなってしまって・・・指一つだってうごかない。もし目覚めても、しばらく入院ね・・・はやく起きないと、とっても大変よ
あなたはいったいどんな夢を見てるのかな
ねえ、おしえてよ・・・カレーを作って私に食べさせてる夢じゃないんでしょ
私の夢に入り浸って、起きるの忘れてましたなんて言ったら、承知しないからね
どうして、こうなっちゃったのかな・・・
最近怖いのよ、あなたとの記憶がときどきあやふやになって、本当にあったのかって思っちゃって。もう十年の付き合いだけど、今までそんなこと思ったことなかったから。ごめんね、弱音吐いちゃって。言っちゃいけないと思うの・・・あなたは痛くても弱音吐かなかったから
あなたと会ったのはちょうどこの季節だったね、大学生のあなたと、就職してそれなりの私。
あなたの就職相談がきっかけだったっけ、あなた、緊張して縮こまってて・・・ちょっとその初々しさが羨ましかったな・・・可愛かった、今も素敵よ、白くて百合みたいに綺麗で・・・小麦色の肌をすることもあったなんて信じられないくらいに、綺麗よ・・・だけどあの頃の可愛さはちょっと格別なものがあった。見た瞬間、心惹かれてしまうくらいに。
あなたのことが好きになってしまって、就職相談が何回か続くことが決まったときは、うれしくて、だめだった。
あなたをぎゅっとしたいって思いが止められなくて、どうか呆れないでね・・・本当に好きなのよ
(ささやき)愛してる・・・
ふふ、くすぐったそうにしないの?
何度言っても、この言葉になれなくて・・・少し耳が赤くなったよね・・・可愛かった。
いろいろとあって、それでも一緒に暮らせて、ベッドで二人でごろごろしてるとき楽しかったな。
私達、お互い子供っぽかったのよね・・・いっしょにごろごろして、くすぐらせたりして、なんでもないことを話して・・・そのうちに昂ったり、そうでもなかったりしてた・・・あのね、私、肌を合わせたときのあなたより、なんでもない時にただニコニコしているあなたを思い出すの・・・なんだろ、私、想像以上にあなたが好きみたい・・・
間
今でも、ふと思い出すの、ううん、夢に現れることもある・・・あなたが倒れた日のこと。
仕事が大変そうだったし、顔色も悪いことも分かってた・・・でも大丈夫っていうから、それで納得してしまってた・・・大事なサインを逃していた気がする、あなたですら気づかなかった、身体のサイン、心の悲鳴を・・・。
雨の日だったね・・・喧嘩したの・・・なんで喧嘩し始めたのか、おぼろげなの・・・ただお互いひどいことを言って、それであなたが家を飛び出して・・・倒れてしまった・・・もう身体が限界だったのね・・・救急車で運ばれて、命は助かったけど、こうして・・・こうして・・・眠り続けて、いる・・・・(涙をこらえるように)
ごめんなさい、笑顔でいようと思ったのに・・・あなたの前で笑っていたいのに、何かが溢れてしまうの・・・心から、溢れてしまうの。
あれだけ泣いたら、もう出るものがないと思うのに、涙が出てしまうの・・・
あなたが起きたらね、私、あなたがびっくりしちゃうくらいに、大好きっていうの
あなたが起きたらね、私、あなたがびっくりしちゃうくらいに、抱きしめてあげるの。
あなたが起きたら・・・ううん、起きるまでに、私はどうすればいいんだろう・・・ねえ、起きてよ・・・ねえ、ねえ・・・起きて・・・私を置いていかないで
・・・あの頃のように・・・ううん、あの頃じゃなくてもいいから、私と・・・笑って・・・
本当に愛してる・・・愛してるわ・・・あなた以外を考えられない・・・何度でも、あなたが困るくらい、言うから・・・
どうか、目を覚まして・・・
間
・・・ごめんなさい、取り乱してしまって・・・また来るわね・・・大丈夫よ・・・私は、大丈夫・・・
それにしても、あなたの手は冷たいわね・・・温めなきゃん・・・あれ、いま、指が・・・ぴくって・・・
誰かっ・・・誰か来て・・・今、この子の指がっ・・・
あなた、まだ、こっちの世界に戻れるように頑張っているのね・・・起きようとしているのね・・・ああっ・・・(嗚咽)
【百合・1シチュエーション】あなたが目を覚ますまで、何度だって愛を伝えよう【フリー台本】 つづり @hujiiroame
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