補遺


 誰某だれそれ風に、という創作を、ボクは時たましますが、これは遊び心と、それからこの小説の冒頭にあるように、ある作家へのオマージュ、敬意の表現でもあります。


 よほどに読み込んで一応のその作家の癖やら、語彙、文体の特徴等を飲み込んでいないとパロディも模写もできにくい。


 ユーモア作家だと、こういうパロディを試みる人はままあって、そんなに詳しいとは言えないですが、筒井康隆さん、清水義範さん、東海林さだおさんとかもしていたかも?週刊朝日で、文体模写の断片のみの「模写文学大賞」みたいなのを開催していたのも読んだことある。


 丸谷才一氏が、「フィネガンズウェイク」というジョイスの小説の翻訳を、第一章はーーーー氏の文体で、第二章はーーーー氏の文体で、とか翻訳しわけていたというのも広告で見た。

 だからジョイスはディケンズとかセルバンテスとか有名な作家の文体模写をしていて、それを漱石とか鴎外とかに割り振ったというような意味だと思う。今調べてもいいが、時間かかるので今度にします。


 技巧に自信のある、”手練てだれ”の作者でないとこうした模写やパロディは難しくて、それと諧謔精神というのがないと、熱心にするモチベも上がらないと思います。


 ボクはキャリアも浅いしアマチュアで偉そうには言えないが、「芥川の文体模写」とかしたのはずいぶん褒められたし、カフカや三島に材をとったパロディも、「うわあ好き」とかコメントもらったりして、そういう希少価値はあるかな?とも思う。


 海外だとウンベルトエーコがいたり、ピンチョン、カルヴィーノ、等々、ひょうきんな感じのパロディ作者は多くて、そういうのも生半可ですが、面白さは分かるし好きです。

 ジョークというのは人間関係の潤滑油で、他人を攻撃する武器にもなる。

 言語藝術における一種のナックルボールのような魔球?が、隠し球が、ユーモア、パロディ?とか思う。


 もう60過ぎているので、ボクも”日本文学界のフィル・ニークロ”を目指したいと思いますw 

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掌編小説・『神前結婚式』 夢美瑠瑠 @joeyasushi

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