第12話 宵山の珍騒動

このエッセイは、私が投稿している小説に関するものです。

投稿している小説の正式なタイトルは「京都市左京区下鴨女子寮へようこそ! 親が毒でも彼氏がクソでも仲間がいれば大丈夫!」です。

以下「(略)下鴨女子寮へようこそ!」としますね。

小説のURLはこちらです→https://kakuyomu.jp/works/16817139555256984196


毒母から離れて京都の大学に進学できた美希。

彼氏もできて順風満帆……かのように見えましたが。


宵山デートに誘ってくれた清水さんは、黒田さんを気に掛けて美希を放ったらかしにして姿を消してしまいました。


美希は、自分の浴衣のほどけかけた帯を何とかしながら、人ごみを抜けようと四苦八苦。


京都の街が全く分からない美希にとって道しるべとなるのが「小さな東京駅」です。

赤煉瓦に白い帯で、東京丸の内にある東京駅によく似たデザインで建てられています。


この建物。

もちろんモデルがあります。

三条烏丸の交差点にある「みずほ銀行京都中央支店」です。

ところが。

美希がこの建物を背にして歩いても、やはり東京駅のような赤煉瓦に白い帯という建物の前に出てきてしまうのです。


祇園宵山の世が耽る中、提灯や祇園囃子、粽売りの澄んだ子供の歌声など、美希には見慣れぬ物ばかりでただでさえ気持ちが混乱しています。

自分の浴衣の帯だって、今にも解けて落ちてしまいそうな大ピンチ。

それなのに、こんな祭りの空間から抜け出せないまま閉じ込められてしまうのかも……そんな不安に襲われたら泣き出したくなろうというものです。


美希のように毒親育ちで自己肯定感が低い人間、つまり「自分はこれでいいんだ」という自信がない人間にとって、困った出来事は、自分の行いとは関係なく前触れなく降りかかってくると感じられます。


毒親というのは、子どもの立場にお構いなしに彼らの気分で子どもの人格を否定しますから……。このような親の許で育つと、自分があれをやったらから良い結果が得られた、これをやったから悪い結果に結びついたという実感が確かなものとして得られないんです。

事前に理解することができないまま、悪い結果だけが襲い掛かってくる。そんな不安感を抱えて生きています。


しかも。

こんな途方に暮れている美希に声を掛けて来たのは、よりにもよって、アノ、大学生協の近くの交差点で美希を叱りつけた男性です。

さあ、何を言い出すのか……。


ところが。

今日の彼は親切です。彼は彼なりに美希を助けようとしてくれますw

パンツ一丁の辺りはちょっと間抜けですけどねw。

私も書いていて楽しかったです。


美希のトートバックを探してくれる辺りは、頼もしいくらいですね。

美希は三条烏丸を東に入った辺りの町屋で、そこのイベント会場の片隅でお茶を飲んで一息入れています。

トートバックを拾ってくれた老夫婦は、阪急電車で京都の烏丸駅まで来て、そして四条烏丸の交差点で地下道から外に出たという設定です。

四条烏丸の交差点には、東北に三井住友銀行、東南に三菱UFJ銀行の建物があります。この二つは昔はギリシャ建築風だったらしく、今でも一部が壁面に残されています。

拙作「(略)下鴨女子寮へようこそ!」で美希のバッグを拾ってくれたおじいちゃんが「ギリシャ建築みたいな石造りの柱があった」と言っているのはこの二つの銀行を見てのことです。

そして、おじいちゃんは四条通を西に歩いて四条室町の京都経済センターの前にいます。


この京都経済センターは2019年に出来たばかりのとても綺麗なビルです。和モダンの外壁が印象的ですね。

一階には、京都人にはおなじみの大垣書店の本店が入っています。


大垣書店は、イオンモール北大路にも店舗があります。下鴨エリアから近いので、美希もちょくちょく自転車や徒歩でお出かけしているという設定です。今後の展開でそのような描写が出てきます。


昔は烏丸北大路の4階建てのビルが大垣書店の本店だったそうですが、今はこの京都産業センターの方が本店です。

最近の本屋さんは、お洒落に本をディスプレイする傾向がありますが、ここもそんな感じです。


あと、私の知り合いでポケモンが大好きだという人がいて、この人はこの京都経済センターのポケモンショップに行くのが楽しみだそうです。


三条烏丸と四条室町とはGoogleで検索すると徒歩8分だそうですが、この場面は宵山で人がごった返しているので、その倍以上の時間がかかったと考えています。

交差点で美希を叱った「怖い人」は、ここでは美希のために結構頑張って往復してくれたことになります。いいヤツなんですよ、実はw


この彼が言うように、宵山の間、古いお家がご自慢の品を訪問客に見せてくれます。

私も20年近く前に、京都で学生を始めた友人と一緒に見て回りました。

今回再登場した彼も、そういったお家の中を見学してそろそろ帰ろうとしているところでした。


そんな二人が地下鉄烏丸御池駅のがらんとしたホームで時間を潰すことになりますが……。

ここで美希と彼が交わした「小さな東京駅」の話題が、後々の二人に関わってきますので、どうか続きもお読みになって下さいませ。


拙作「(略)下鴨女子寮へようこそ!」では、後半で、このお兄ちゃんがなかなかイイ味を出してまいります。

どうか最後までご愛読賜りますよう。









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