第5話 美人じゃなくて悪うございましたね。

このエッセイは、私が投稿している小説に関するものです。

投稿している小説の正式なタイトルは「京都市左京区下鴨女子寮へようこそ! 親が毒でも彼氏がクソでも仲間がいれば大丈夫!」です。

長いので、以下「(略)下鴨女子寮へようこそ!」としますね。

小説は→https://kakuyomu.jp/works/16816927860159349467


第5回のタイトル「五百キロ離れて解毒せよ」にもありますように、ここで主人公は毒母から500キロ離れた京都で、自分の人生を取り戻すことになります。

毒親の影響から脱していくことを、ネットスラングで「解毒」と言います。


今回の第五話以降、小説ではしばらく毒親の描写はありません。

今まで胸糞悪い思いで読んでいらっしゃった方。最終話近くになるまでもう毒母は登場しませんので、ご安心を。


今回ばかりは、やはり実在の毒母と、その姉(叔母)の話を書きたいと思います。


この美希は私がモデルです。

毒母も毒母でしたが、その母の姉(叔母)もなかなかで……。

私の母とこの叔母とは一心同体というか。仲がいい姉妹という言葉では言い表せないほど、共依存的に強固な結びつきがありました。


前回、小説に取り入れた「泊りがけの旅行でプールに行って目が痛くなった」エピソード。

実を言えば、母ではなく、この母の姉(叔母)のエピソードです。

読者の皆様にわかりやすいように、そして、小説として構成がすっきりするよう、母のエピソードにしました。

ただ、この二人は、二人で一人のようなところがありますので、どちらのエピソードにしてもあまり変わらないんですよ……。


叔母は大阪の南で、開業医の夫と暮らしていました。医院の奥様として、多忙だったのだろうと思います。

その叔母が、息抜きに大阪の天見温泉に子ども(私の従姉)と泊りがけで出かけることになり、私を神戸の母から預かって一緒に連れて行きました。

そこにプールがあったこと、泳いだその日に目が痛くなったこと、そしてその温泉地の医者に「この子は目に大変な病気がある」と言われたことは事実そのままです。

泣いて怯える私に、テレビを見ていた叔母が「迷惑だ」と言ったのも同じです。


畳の上で目を覆って「痛いよう、痛いよう」と泣きじゃくる私をよそに、叔母と従姉がテレビで笑っていたこと。叔母がひんやりした口調で「〇〇ちゃん」と私に語りかけたこと。その内容が「この旅行を私たちは楽しみにしてたのよ。○○ちゃんがそうやって痛い痛いって騒ぐたびに、さっきから私たちがいったいどんな気持ちになってると思う? ○○ちゃんは他人を思いやれないからダメなのね」であったこと。今でもよく覚えています。


私が大人になってみると、叔母の気持ちが全く分からないわけではありません。

自分の子育て中、小さい子どもがグズグズ言うのにイライラすることだってありました。

相手は幼いんだから我慢しないといけないと分かっていても、正直、「勘弁して!」「私を寛がせて!」と胸の中で思うことはあります。

ですから、街中で小さい子どもにキレて怒鳴っている若いお母さんの気持ちもよーく分かるんですよ。「うんうん、子育て大変だよねー」と心の中で同情し、そして「頑張ってるねー」と声を掛けています。

叔母についても、開業医の妻として緊張の抜けない生活を普段送っているのだから、たまには温泉地で羽を伸ばしたかったのだろうと、今の大人になった私はよく分かります。私が邪魔してしまって、それが嫌だったのだろうということも。


ただし。大人になった私は、いくら小さな子にペースを乱され、それに苛立ち、カッとして何か言ったとしても(「うるさい」と怒鳴るとかしても)。

幼い子どもを、あんなに粛々と「人の楽しみをぶち壊す邪悪な子ども」に仕立て上げるほど悪辣ではありません。


この叔母は、この旅行から神戸の母に私を送り届けるときにも、「やっぱり○○ちゃんはこんな風だからアカンのやねえ」と申し送りをしておりました。

その後も、母と叔母は一心同体で「○○ちゃんは心が冷たいからアカンねえ」と言い続け、そして私の進学希望も異口同音で阻んだのでした。

(その叔母の自慢の息子の進学先より難関な大学だったのもまずかったのでしょう)


また、母が美人で妹も美人、そして叔母も美人であったのに、私が彼女達から見劣りする容姿であることもその通りです。

そして、叔母が私を見て「妹の□□ちゃんは、美男美女の両親のいいとこどりをした可愛い顔だけれど、大きくなったらお姉ちゃんみたいな顔になっちゃうのかしら。残念ねえ」と言ったのも、一言一句そのまんまです。


確かに、母と妹と比較すると、同じような美人では決してなく……。

下鴨寮生達が言うように、血のつながりがあるので、全く違う顔というわけではないと思いますが(似てると言うと彼女達は不快がると思いますが)。

ただ、目が小さいとか、涙袋がないとか、ともかく地味なんですよねw


まあ、私の顔というのは、ぱっとしない顔ですが、醜いってほどでもなく。

顔立ちで褒められもけなされもしない、これと言って特徴がない平凡な顔かと思います。


小説の美希については、「地味だけどそれなりに整っている顔」「雰囲気込みで可愛い顔」としています。

これから素敵な彼氏が見つかる予定なので、見る人が見れば可愛いという設定です。

じゃないと、物語になりませんしw


「雰囲気込みで可愛い」とは、私も言われたことがありますが……。


美希もそうですが、私も毒親から性格を否定されて育ったので、他人様と接するときにやや卑屈なくらい丁寧な対応をとるところがあります。

ちょと「おどおど」した感じがあるかもしれません。


女性に「大人しさ」「お淑やかさ」を求める男性からすると、私の受け答えなどの態度は柔らかくて優しそうに見えるところはあるようです。その物腰込みで、「可愛い」と思う男性もいたにはいたんですよ。

しかしながら、後々美希にも同じ問題が起こりますが、こういう理由で男性に好意を寄せられてもロクなことにはならないんですけどね……。


ともあれ。

ここまで私をモデルにして登場した美希ですが。

私よりちょっとかわいい彼女は、ちょっとほろ苦い思いをしながらも少しずつ幸せになっていきます。


私もハッピーエンドを楽しんで書きました。

読者の皆様にも、お楽しみいただけましたら、書き手としてこれほど嬉しいことはありません。

今までのところの毒親描写で嫌な思いをされたかもしれませんが、後味爽やかに仕上げておりますので、最後までご愛読くださいますよう。よろしくお願い申し上げます。



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