第7話 言えないこと
あの学校での事件から、もう幸介たちは僕のことをいじめてこなくなった。
もちろんそれは嬉しいのだが、幸介以外の他のクラスメイトたちも、僕のことを怖がるようになり、僕は、ほとんどずっと『ぼっち生活』となっていた。
「は〜。誰か一人でも友達が作れたらいいのに。」と、帰ってきたらヒナに愚痴をいう。そんな毎日が続いていた。
ある日、「ちょっといかなきゃ行けないとこがあって。すぐ戻ってくるから、武隼くん、ちょっと留守番しといてくれる?」とヒナが言った。
「え?ヒナ、なにも仕事してないのに?」
「え!?う、うん、、、。まあ、そうなんだけど、友達と会う約束をしてて!
じゃ、じゃあね!」
逃げるように玄関から出るヒナを見て、怪しいと思った僕はヒナの跡をつけることにした。
ヒナは僕でも知らない道をさっさと歩いていた。
はやい!ヒナってこんなに歩くのはやかったっけ!?
そしてようやくヒナは薄暗い路地裏で止まった。
すると、ヒナの真下の地面に魔法陣みたいなものが浮き出てきた。
「!?」
そしてその中から黒いフードをかぶった、浮いている人が出てきたんだ。
それを見た瞬間、僕の体から鳥肌がブワッと広がった。
「お久しぶりです。マリープライデン女王様。」
「久しぶりだね。ヒナ。」
僕はヒナの挨拶を聞いてあいつがマリープライデン!と思った。
「ヒナ、今日はお前に話があるんだ。」
「ええ。なんでしょうか?」
「ヒナ。今、君は武隼という人間と仕事をしているね?
その仕事なんだが、ヒナ、お前、その人間に神様にしてくれと言われていなかったか?え?」
僕の名前が出てきて思わずびくりとしてしまった。
「ええ。なので、仕事を乱しては行けないと思い、私のゴットパワーを少しばかり分けました。」
「そうだね。でもヒナ、お前はそんな人間に力を分けたからか、随分とゲンナリしているんじゃないか?そしてもしその人間が三回以上力を使ったらお前は星になってしまうんだよ?それでもいいのかい?」
え?そう、だったの?だから、力を使うのは3回までだって言ってたの?
「それが嫌なら、魔界に戻ってきな。君はもともと死神で、人間の命を天国に送るだけの神なのだから。それを星になってしまう前に人間の願いを叶えてやりたいだなんて。全く、呆れるよ。」
「ご迷惑をおかけし、本当に申し訳ございません。ただ、あと一つ、彼の願いを叶えさせてください。」
ヒナは、自分が消えてまでも、僕の願いを叶えようとしてたんだ。
でも、なんで、、なんでヒナは自分がギリギリだったことを言ってくれなかったんだろう?
僕は猛烈に、ヒナにイラついた。
「ま、今日のところはこれくらいにしよう。また会おう。ヒナ。」
そう言ってマリープライデンは消えた。
ヒナが真剣な顔でこっちにくる。
僕はヒナの目の前に立ち塞がった。
「武隼くん?っもしかして今の聞いてたの?」
僕は涙を堪えながらうなずいた。
そして、「なんで、言ってくれなかったんだ。なんでだよ!!」と言った。
気がつくと僕は、ヒナに殴りかかっていた。
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