第6話 新たな力
最近ヒナは、本当によく笑わなくなった。
笑うと言っても、なんだかぎこちない作り笑いをすることが多い。
「ヒナ、最近元気ないけど、大丈夫?」
僕は心配になって聞いた。
「あ〜。・・・・全然、大丈夫、、、、。」
「どこか悪いなら、僕の力で、治してあげようか?」
そう、あの闇の日から僕はヒナに神様にしてもらった。
僕は嬉しかったけど、ヒナはずっと顔を曇らせていた。
「どこかが痛いとかじゃないの。
・・・・ほんと、何にもないから、、、、。」
ヒナはまたそう言ってぎこちない笑顔を僕に向けた。
「ヒナ、僕にして欲しいことがあったら、言ってね?」
僕は、少しでもヒナの力になろうとした。
するとヒナは、「じゃあ、さっそくお願いしてもいいかな?」と言った。
「もちろん!」
「武隼くんは神様になれたけど、願いを叶えたりするのは、どうか、3つまでにして欲しいんだ。そして、神様の力は、極力、誰かを助けるためとかに使って欲しい。」
「え?いいけど、どうして?」
「まあ、いろいろな事情があるんだよ。」
まあ、それでヒナの力になれるなら、それでいいや。
「おい、ドブ。最近よくないことがあったんじゃね〜か〜?」
学校に着くと幸介がまた話しかけてきた。
「・・・・・別に、、、。普通だけど。」
僕がそう答えると、幸介たちはゲラゲラ笑って
「うわ〜。みんな、ドブが強がってるぞ〜。
警察に連行されたくせによ〜。
ドブくんよ〜、いつそんな強くなったんだよ!」
幸介は蹴りを僕に入れた。
痛い。お腹に痛みが入った。
そして、気づくと僕は幸介たちに言い返していた。
「・・・・・・だまれ。」
「あ?もっとおっきな声でお願いしま〜す。」
「だまれって言ったんだよ!聞こえねえのか!?」
「ヒイッ!」
幸介たちの悲鳴が聞こえた。
でも、そんなのはどうでもよかった。
そうだ、今の僕は神様なんだ。幸介たちなんかより、ずっと強いんだ。
じゃあ、今ここで今までのこと反省させて、、、、。
「ゴットパ・・・。」
『武隼くん!やめて!』
僕が技を使おうとしたら、ヒナの声が心の中で鳴り響いた。
僕は動きを止めて、幸介たちを離した。
一体、なんだったんだ!?
「ヒナ〜!」
「どうしたの?武隼くん。」
僕は帰るなりヒナに聞いた。
「ぼ、僕、今日学校で力を使おうとしたんだ!そしたら、ヒナの声が聞こえて。僕、能力が暴走しそうだったから、止めてくれてとても嬉しかった!
でも、ヒナ、僕の脳に喋りかけられるの?」
ヒナはそれを聞いて、「なにそれ〜!?」と言った。
・・・・あれ?・・・ヒナ、もしかして知らなかったの!?
「へ〜。私そんな能力もってたんだ。知らなかったや〜。」
僕はヒナの言葉を聞いて思わず微笑んでしまった。
「武隼くん?なんで笑ってるの?」
ヒナが不思議そうに聞いてきた。
「ヒナが新しい能力を使えるようになったのが嬉しくて、、、。」
ヒナは僕のその言葉を聞いて最近でいちばんの笑顔を見せた。
僕が大好きな、ヒナの、心からの笑顔。
この笑顔を守れるような人になりたいと、僕は思った。
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