第3話 デパート事件 

「武隼くん、今日、一緒に買い物行かない?」

ヒナと暮らして1日目。現実世界にはまだ慣れないけど、ヒナと一緒ならなんでもできるので、最近は少し楽しい一日を遅れている。ヒナはファッションに興味があるようで、1週間に一回は、イロンモールというデパートに服を買いに出かけているらしい。

「行きたい!」「じゃあ、車出してくるから、ちょっと待ってね。」

ヒナはそう言ってどこかに行った。




「うわ〜!ベンツだ!高級車じゃん!」「へへ〜。もう結構ボロボロだから、別の車出そうか迷ったんだよね。」

「べ、別の車って、ヒナ、何台車持ってんの?」「1、2、3、4、・・・七つくらい?」

僕はその数を聞いてめまいがしそうだった。

「ヒナの家って、もしかしてとんでもない大金持ち?」

僕がそう聞くと、ヒナは気まずそうに、「私に家なんてないから。」と言った。

車に乗ってからも、ヒナは僕に「あまり私の家について聞かないでね。」と言った。

一体、なにがいけなかったんだろう?




「うわ〜!!かっわいい!見てみて、この白のワンピース、ちょ〜かわいいんだけど!」

イロンモールに着くと、ヒナはさっきのことがなかったように目をキラキラさせて服に夢中になっていた。

「はっ!ご、ごめん武隼くん、私つい舞い上がっちゃって、、、。」

ヒナはそう言って、頭をかいた。

「僕、ちょっと行きたいところがあるから、ヒナ、そこで待っといて。」

「リョーカイ!」ヒナはまた明るい笑顔で返事をした。

もう生きていない僕に対して、優しく接してくれるヒナに、何かお返しをしようと、アクセサリー店に向かった。

「あった!」前にニュースで二十代に人気のネックレスを取り上げていて、これをヒナにあげたいって思った。

僕はすぐさまレジに並んで、ヒナのもとへ向かった。

そして、見てはいけないものを見ちゃったんだ。

「離せよ!」「なに言ってるんだ!奪った物を出せ!これで何回目だ!?」

そこには、万引きをしている幸介とその友達が店員らしき人に捕まっていた。

「え、、、?」僕は思わず声を出してしまった。

幸介は僕を見つけるなり、「あいつだ!あいつが奪ってこいって言ったから、そうするしかなかったんだよ!」と上手な泣き演技で僕を指差しながら言った。

店員さんは僕に近寄って、「君があの子に物をとれって言ったのかい?」と僕のことを睨みながら言った。

「ち、違います!僕はただここを通っていただけなんです!信じてください!」

「おじさん、本当にこいつがそう言ったんだよ!なあ、みんな?」

幸介の仲間は口々に「そうだ!そいつが主犯だ!」と言った。

「とりあえず、君には話を聞かせてもらう。」「そんな、、、、。」

僕は泣きそうになる心を必死に堪えた。その時だったんだ。

救世主が来たのは。

「ちょっと、うちの子をどこに連れて行くんですか?」

そこには、ヒナの怒りでいっぱいに顔があった。

「ヒナ、、、、、。」

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