第2話 三つの願い

僕は一瞬何を言ってるのかわからなかった。

だって、あの弱虫で空気扱いされている僕にだよ?

しかも初対面だし、、、、。

「あの〜、人違いじゃないですか?」「ちがうちがう。私がそんなドジするわけないじゃん!あはは!!」

僕はとりあえずヒナが言ってることを信じることにした。

「あの、僕に用ってなんですか?」僕がそう問いかけると、ヒナは一瞬にして、とても真剣な顔になった。

「あしど武隼くん。いきなり言ったらビックリするかもだけど、君はもう、死んでるの。」

「え、、、?」何を言っているのかわからない。僕は今だってピンピンしてる。

それを死んでるだなんて、何を根拠にそんなことが言えるんだろう。

「武隼くんは9歳の時に病気で死んでるの。本当なら、今頃天国に行ってたんだけど、この町が大好きすぎて、今までずっとあなたはここでさまよっていたんだよ。」そんな、、、

「じゃ、じゃあ、なんで僕は今ここに立っていられるのさ!幸介や母さんだって、僕のこと、見えてるはずだ!そういうのって、誰にも気づかれずに一人孤独にいるものだろう!?」

僕がそう言い張ると、ヒナは目に涙をためて、僕の頭をそっと撫でた。

「武隼くん、ここは、あなたの心の中なんだ。あなたは、小さい頃からみんなにいじめられていた。その悲しい心が、幽霊になっても残り続けて、大きくなりすぎて、今、ここにいるんだよ。」

僕は目から涙が溢れてきた。

「うそだ!そんなこと、あるわけない!そんなこと、、、ないに決まってる、、、、。うわあ〜ん!」僕はつい大声で泣いてしまった。

ヒナはずっと僕を抱きしめて、ずっと頭を撫でていた。




結局、あのあと僕とヒナは一緒にヒナの家に行って、同居することをお母さんに話すことになった。まあ、虚空のお母さんだけど、、、。

「武隼くんが天国に帰る方法は一つしかないの。」

「なになに?」

「武隼くんが楽しかったと思えるような思い出を、この世界で作るの!」

僕が楽しいと思えるもの、、、。

「でも、僕、今までに楽しかった!って思えるようなことなかったから。

どうすればいいのかな?」

「そこでだ!私が武隼くんの願いを叶えてあげる!ただし、三つだけ!」

願いを、、かなえる?なに占い師みたいなこと言ってんだろ、、。

「な、なんでもいいの?」「イエス!!」

ヒナはにこっと笑って親指でグッドを作った。

僕は少し考えて、「現実世界に、戻りたい。」と言った。

ヒナは「オッケー」と言って空を見上げて、目を瞑った。

「はい!しゅーりょー!」「え!?こんだけでいいの!?」

「うん!あまり複雑のことはしたくないんすよ。」ヒナはそう言って、テヘヘっと笑った。「あ、でも、君があと現実世界で暮らせる日数は、最高で一週間。そのことは忘れないでね。」僕はゆっくりうなずいた。





次の日、僕は何か違う空気に包まれた気がした。

「あれ!?ここは?」「私の家だよ!もう忘れちゃったの?」ヒナはからかうように言った。

やっぱり、本当に、現実世界に戻れてる!?

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