第9話自宅で
一時、病院から家に帰った須藤茜と母の須藤桃花は
家でシャワーを浴びて仮眠をとるつもりで自宅に戻っていた。
茜がシャワーを浴びている時、桃花は学校に電話を掛けた。茜を休ませてほしいと言う為だった。
ところが既に学校では異変が起きていた。
学校では両親のどちらかの理由で学校を休んでいる生徒がクラスに半分以上もいるとの事だった。
担任の先生は伝染病なのだろうか?と心配していたが、須藤桃花は気づいていた。
「これは、間違いない。保護者の方は子供の頃
仮病病院を利用したんだ」桃花は恐怖を覚えた。
「茜~シャワー早く浴びてね。そして軽く食事して仮眠取ったらまた病院に行かなければならないから。それにお父さんのご両親にもきちんと仮病病院の事を話しておきたいの。今学校に電話掛けたら学校でも大変な事が起きているらしいの」
「わかった。お母さんもう少しで出るから」
「食事~今、簡単に冷凍ピラフお皿に出しておいたから」飲み物もテーブルに出しておいたからね。
「わかった。お母さん」
ドライヤーで髪の毛を乾かしている音が浴室から聞こえてきた。
「じゃあ先にご飯を食べてるか」桃花は学校の事を気にしながら簡単冷凍ピラフを少しずつ食べていた。
その時、自宅の電話が鳴った。
桃花はスプーンをおいて自宅の電話の受話器を持った。
「はい、須藤ですが~えっ?なんですって?病院で~そんな事って!」
須藤は今帰ってきたばかりの病院からの電話に驚いた。
「立入禁止?そんな~身内の方は病院の外?」
いったいどうなっているのか?仮病病院を昔利用している人がこんなにたくさんいるとは思わなかった
桃花はますます恐怖を感じた。
病院からの電話では、入院していない患者さんの身内の方が次々と倒れて意識障害を起こしているということだった。
「はい、そうですか~はいわかりました。ご連絡
ありがとうございました」
ところが受話器を切った桃花にまた電話が鳴った。
その電話は茜のお祖母ちゃんの「すね」からの電話だった。「すね」はかなり動揺している様子が電話から感じた。
「落ち着いてください。全て家で話しますので家に来てください。実は今大変な事が起きているんです。話すと長くなってしまうので」
茜のお祖母ちゃんの「すね」とお祖父ちゃんの
「一郎」とお父さんの弟の「広樹」の三人で須藤家にこれから来ると言うことになった。
そして、桃花は嫌な予感がしてテレビのスイッチを入れた。テレビの緊急速報のニュースに桃花は目が釘つけになっていた。
道端で桃花とちょうど同じくらいの年齢に見える男女が道端で急にバタバタ倒れている様子が映っていた。
「これは~何が起きているんだろう?日本では何かが起きている。お母さん達に話して仮病病院を調べれば何かわかるのかもしれない」
桃花はあることを思い出していた。
仮病病院を桃花が子供の頃利用しなかったのには訳があった。
当時の桃花の親友は、さぼり癖があって毎日桃花が止めるのも聞かず当時学校の側に突然出来た「仮病病院」を使っていたのだ。
その結果原因不明の病で桃花の親友の紀子はまだ子供だというのに亡くなってしまったのだ。
健康手帳に書ききれなくなると子供でも亡くなると言うことを桃花はこの体験から知っていたのだ。
病院で見た健康手帳は最後の一ページが残っている事を確認した桃花は心底ほっとした。それでも夫は大丈夫なのだろうか?桃花は心配でたまらなかった。
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