第8話真実
須藤茜と母の桃花が帰宅すると玄関で電話の音が鳴っていた。
二人は急いで玄関の鍵を開けて家の中に入った。
須藤桃花は受話器を持ちながらほっとした様子で話した。
「そうなんですか~よかった~茜に伝えておきます。はい、いいんですよ~困った時はお互い様ですから~それではお大事になさってください。はい、はいそれでは~」
桃花は茜に伝えた「手術成功だって本当によかったわ。茜にも宜しくだって~」
茜は「本当~よかった」
二人は佐藤雪の母親の事があってから絶対に「仮病病院」を使ってはいけない。健康の後払いをしてはいけないそう心に誓い恐ろしい仮病病院には近づかない事そんな話をしながら夕食を食べていた。
その時、須藤桃花の携帯の着信が鳴った。
何だか桃花は嫌な予感がした。
そして携帯を手に取った「えっ?主人が?南総合病院に?わかりました。すぐ行きます。茜、お父さんが南総合病院に運ばれたって~すぐ来てくれって!茜も来て遅くなるかもしれないから」桃花は茜にそう言った。
茜は「わかった。」
そう言うと二人は佐藤雪の母親が入院している病院にまた母親が運転する車で向かった。
そしてまた、看護師の雲海清美が出て来て茜と母の桃花の二人に言った。
「須藤誠さんは子供の頃かなりたくさん「仮病病院」を利用して入院しています。
「仮病病院」を長く利用していると言う証拠に病院の手帳がご主人のバッグから見つかったんですよ。
ここまで利用していると命が危ないレベルなんですよ」
そう言って雲海清美は父のバックに入っていたお薬手帳のような病院手帳を桃花に二人に見せた。
その手帳を見た母の桃花の顔はみるみるうちに青ざめていった。
「こんなにたくさん子どもの頃に利用していたなんて~ほとんど毎日……」
母の桃花は涙を貯めながらショックを隠せない様子で雲海清美に言った。
「主人の病名は何でしょうか?」
雲海清美は言った「いろいろ今検査中なんですが~今のところ病名がわからないんです。
でも、かなり衰弱しいて~正直危篤状態です。身内の方にお知らせの電話をかけてください」
桃花は泣く暇もなく須藤誠の弟や誠の両親に電話を掛けた。
茜と桃花は良くなるようにと祈りながら病院の待合室で眠りについていた。
次の日の朝病室の待合室で目が覚めた。
目の前には雲海清美が立っていた。
「ご主人、目が覚めましたよ。もう大丈夫です。
体力が回復してきたらまた検査をしますね。よかったですね」
そう言われて二人は心底ほっとしていた。
雲海清美の側には須藤誠の弟の広樹と両親のすねと一郎が泣きながら「よかった。本当によかった。桃花さんうちの息子の世話大変だったろう一度家に帰りなさい茜を連れて二人とも少し休みなさい。
茜ちゃんも一日学校休んで家でゆっくりしていなさい。私達が今日は息子をみているから」
誠の両親にそう言われ「ありがとうございます。一度帰って休んでから着替えとか持ってきますね」
二人はそう言うと自宅に戻った。
「茜シャワー浴びて少し仮眠しましょう。それからまた病院に行かないとね」
茜は「わかった。でも、仮病病院お父さん入院した事あるんだね。しかもあんなにたくさん……」
母の桃花は茜に言った「お母さんも驚いたわ昔、お父さんからは「仮病病院」使ったことなんてないって聞いてたから~でも、今はお父さん病気だから
お父さんが良くなったら本人に聞いてみましょう。さあシャワーを先に浴びて来て。私は学校に電話しておくから」
茜は「わかった」そう言ってシャワーを浴びに浴室に向かった。
「さてと学校に電話を~」
須藤桃花は茜が通っている学校に電話を掛けた。
すると三年一組の担任の先生が電話でこう言った。
「須藤さんもですか?今日クラスの半分の生徒が両親のどちらかの関係で欠席なんですよ。
これは、何かの伝染病なんでしょうか?でも「仮病病院」とか~?言ってる人もいましたが~」
須藤桃花は言葉を失なった。
「仮病病院……」
そんなにたくさんの人が病院を利用していたなんて
須藤桃花は改めて仮病病院の恐ろしさに恐怖を感じていた……。
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