第7話手術

佐藤雪と須藤茜と須藤桃花の三人は佐藤令奈の手術が無事に成功する事を祈りながら手術室の椅子に

座っていた。


手術は二時間ほどかかると看護師の雲海清美から

三人は聞いていた。


手術室の前の椅子に座ってから一時間ほどした時、佐藤雪の父親が走ってきた。


「済みませんでした須藤さん救急車まで呼んでもらってしかも娘にまで知らせていただいて車でこちらの病院にまで来てもらって本当にお手数かけました」


「いいんですよ。困った時はお互い様ですから、

ところで~奥様~仮病病院に入院された事ありますか?私達の子供の頃は、流行ってましたよね?

仮病病院?私と奥様は同じ歳です。


あの頃クラスの半分以上の男女が知らない間に

仮病病院に入院していました~奥様がもし子供の頃~仮病病院に入院していたとしたら~ちょうど今頃大病になってしまう頃ですよね?何回入院したかで病気の度合いが違いますけど~」


佐藤雪の父親は重い口を開いた。


「実は~僕が令奈と出逢ったのは、仮病病院の病院でした。令奈は学校が嫌なのか、家が嫌なのか?

しょっちゅう、入院していました。


そして私も、学校のクラスに馴染めずにしょっちゅう仮病病院に入院していたんです」


佐藤雪は驚いた「しょっちゅう?しょっちゅうって~お父さんもお母さんもこれから病気になるの?何とかならないの?」


佐藤雪の父佐藤順一は言った。


「どうにもならないよ。あの時父さんは契約書にサインしてしまったのだから~大人になったら自分の身体で支払います。健康支払いをしますってね。


もっと雪と一緒に居たかったな~父さんの番もそろそろ来ると思うよ。


令奈も良くなればいいけどね」


佐藤雪は言葉を詰まらせて泣いていた。


「じゃあ雪ちゃんお父さんも来た事だし、私達は帰るわね。さようなら~」


 「今日はありがとうございました」


「お大事に」


「またね雪ちゃん」


須藤茜と桃花は南総合病院を後にした。


その時、須藤茜と桃花は確かに見てはいけないものを見てしまった。


それは、茜のクラスメイトの男子が続々と「南総合病院」に救急車で運ばれて来た事を~。


健康支払いは大人になってからのはず~それなのに何でたくさんの茜と同じクラスの男子が?

須藤桃花と茜はしばらく救急車の方を見ていた。


その時、柱の影からこちらをじっと見て笑っている

一人の女性の姿を二人は目撃した。


須藤茜は母の桃花に言った。


「お母さん、あの人が仮病病院の看護師さんで私達に契約書を書かせた看護師さんだよ」


須藤桃花は言った。「まさか?茜も仮病病院に?」茜はゆっくりと頷いた。でもまだ、入院はしてないわ。契約書もまだ~書こうと思ったんだけどね母の桃花に茜は言った。


「お母さんは子供の頃流行ってたって言ってたけど~」桃花は茜に言った。「お母さんはね家にも学校にも恵まれていたの~だからね仮病病院なんて使ってないわよ。お父さんにも聞いたけど使ってないって。茜契約しちゃ駄目よ。雪ちゃんのお母さんみたいになるかも知れないわ。私は茜を苦しめる為に

産んだ訳じゃないからね。いいわね絶対に契約しないで」

茜は母親の桃花に「わかった」そう言って約束をした。


須藤茜はお父さんもお母さんも仮病病院を利用していないと知ってほっとした。


「じゃあお父さんもお母さんも病気にならないよね?ずっと一緒だよね?」


須藤桃花は「いずれ病気になるけど、まだお父さんもお母さんも大丈夫よ」


その言葉を聞いて茜はとても安心した。。。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る