第6話 乃愛、普通のカップルに挑戦します!
先生、
それで、今日はこの実践ルームにしました。はい、ここは普通のアパートの一室です。設定的には彼氏の家、です。そうなんです。あと三回って思ったらなんだか寂しくなっちゃって、それじゃあ普通のカップルのような関係のヒロインに挑戦したくなってしまたんです……。なので、今日の乃愛のコスチュームはフワモコなルームウエアなんですけれど、あり……でしょうか?
あり、ですか。それも、ありよりのありだよ、ですか?! 本当ですか! そう言ってもらえて嬉しいです! ヒロインの中には普通の女の子もいると思うんですよね。ひろいん学園のヒロイン研修で見事合格した先輩方は、アニメの世界やゲームの世界などで大活躍されていて、その中には普通の女の子のヒロインもいて、私、そういう普通の感じのヒロインもいいなって思ってたんですっ! 僕もだよなんて、言ってもらえて嬉しい! ちなみに、先生はどのヒロインがお好きですか?
ふむ、ふむふむ、ふ……む? ん……んんん? むむむ。
先生、先生の今のお話だと、その血の繋がらない妹ちゃんヒロインが一番の推しヒロインのように聞こえましたけれど? え、そうなんだよって……、そんな嬉しそうに言われても……。かっちーん! なんか乃愛、今へんなスイッチ入った気がします。先生のその嬉しそうに推しヒロインを語る姿……。むぅ。
先生、今日は彼氏の家に遊びに来ている彼女設定のヒロインのつもりだったんですけれど、私、キャラ変更しますっ! 先生のその嬉しそうな顔が私以外のヒロインキャラに向いているのが、どうも、こうも、なんか気分が良くないのです。
なので、先生、今日は私、その妹ちゃん設定のヒロインになりたいですっ! それで、その先生の推しヒロインの妹ちゃんキャラとどっちがいいか、勝負ですっ!
せ、いいや、お兄ちゃん! 今日は、お兄ちゃんの部屋に遊びにきた血の繋がらない妹の乃愛でヒロイン研修お願いしますっ! では早速参ります! 先生は、そのドアからこの部屋に帰宅してくださいね!
——ガチャ
お兄ちゃん、お帰りなさい。え? なんで乃愛が家にいるのって? だって、明日は日曜日、お兄ちゃんも仕事がお休みでしょ? 乃愛も学校お休みだから、たまにはお兄ちゃんと一緒に夜更かししてもいいかなって思って遊びにきちゃった。
お子様は夜更かしはダメだろって? お子様じゃないもん! もう十八歳だもん! 乃愛、せっかくお兄ちゃんとパジャマパーティーのつもりで一番のお気に入りのフワモコウェア持ってきたんだよ。ね、ねねね、おにぃちゃん、今日はお兄ちゃんの部屋にお泊まりして行ってもいいでしょ?
それとも、乃愛がお泊まりするのが、嫌なの……?
そんなことあるわけないって? でしょう? じゃあ、早速お兄ちゃんもお着替えして。そんな会社員の格好じゃくつろげないから、お兄ちゃんもほら早く着替えてよ。そうだ! 乃愛、脱がしてあげようか? え? いいよって、そんなそんな、またまた遠慮なんてしなくっていいってば!
はい、ネクタイをまずとって……。あ……ネクタイってなんでこう難しい? あれ? えっと、あれれ? くるしい? 苦しいって? ごめんお兄ちゃん、あれ、ここをこうして、これをこうして……? んんん? お兄ちゃん、これどうやって取るのか、わかんないって……、きゃあ!? お兄ちゃん大丈夫、ねぇ、お兄ちゃん大丈夫!?
はっ! ふざけてたの?
もう、心配しちゃったじゃん! もうお兄ちゃんの意地悪! 本当に心配したんだから、もしもお兄ちゃんがネクタイが締まって死んじゃったらどうしようって……。ふん、もう知らない。もう知らないんだから。
こっち向けよって言われても、もう向いてあげないんだもん……。お兄ちゃんのばか……。せっかく楽しみにやってきたのに……て、えっと……お兄ちゃん……?
来てくれて嬉しいよ……? なんて、抱きしめて言われてももう許してあげないん……あ……の……お兄ちゃん、ねぇ、お兄ちゃん……、苦しいよ、そんなに抱きしめられたら……。俺の顔見ろよなんて、言われて、見れるわけない……。
——きゅらきゅらりーん!
はああう!
お、お兄ちゃん……、や、違くて、先生……? なぜ今ここでヒロインステッキを……? ああ……そしてもう一回ですか……うそ……まだ余韻が消えてないのに……?
——きゅらきゅらりーん!
ああっ……!
せんせぇ……、し、刺激が強過ぎて……、起き上がれません……。あの……、先生、今のどこにヒロインポイントが……? え? 妹の乃愛がわがままで可愛かった……? 振り回されるお兄ちゃん役が気持ちかったから……?
嬉しい……です……。乃愛、先生の推しを超えれましたか……? うん、一番だよ、ですか……? 嬉しいです! え? 残り文字数ですか? た、大変ですっ! 残り文字数6302文字になってしまいました!
今日はここまで、後の時間はこうしてくっついていよう、ですか……? でも、この体制、先生のお膝の上に頭がのっていて、これって、逆な気がするんですけれど……。えっと……? じゃあ、反対になろうですね。うん、了解です!
はい、先生、ここに頭を……って、またここでヒロインステッキ……?
——きゅらきゅらりーん!
あああ、先生、もう、わたし、今日は最高の気分です……。はい、もうしゃべりません。このまま一緒にいましょうね……。
でも先生、最後にやっぱり一言いいですか?
ヒロイン研修五日目、ありがとうございました。
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