第152話 脱出

虎口ここうを逃れて竜穴りゅうけつに入る』


一難を逃れてまた他の難儀にあう。次々に災難にあうという例え。寝坊した日に限って、電車が遅延。腹痛に襲われ、駆け込むトイレは長蛇の列。急いで駆け込み、乗車した電車は逆方向。しかも、快速や急行系。流れる景色に涙を飲む南山之寿。


本日は脱出対決。現実から脱出したままの南山之寿。やらねばならぬことを放棄し、ダラダラと過ごす休日。闘うことは、もとより放棄。しかしながら、そうはいかないのが連休。観光やら遊びやら、挑まねばならない修行の祭典。


Google先生に相談する南山之寿。人混みからの脱出。かつ、楽しめるスポット。検索の結果、『脱出ゲーム』が反応。予約制ときたので、即予約。若と姫を引き連れ、脱出ゲームに参戦。子供向けのイベントが開催されていたので選択。南山之寿と姫はサポーター。若一人で挑むタイプの謎解き。


子供向けと思いきや、中々の難易度。頭を抱える若。

『分からない』と、ヒントを要求。頭も見た目も、おっさんな名探偵南山。『謎は全て解けた!』と言ってやろうと張り切るも、頭を抱える始末。柔軟性に欠ける頭脳。


受付でもらった親用の謎解き解答冊子。チラ見しながら、謎解きの手解き。七転び八起き。何とか、謎を解き明かし脱出。退店時に店員さんから『楽しかった?』と聞かれ、笑顔で頷く若。笑顔で見送る店員。そして帰り際、壁に貼られた宣伝ポスターを見て、姫の一言。


『お父さんみたい!』


南山之寿のその日の服装。ステンカラーコートにハット。探偵気分をだすため、見た目から入る南山之寿。同じ構図の探偵のイラスト。


改めて言われると恥ずかしくなる状況。こころなしか、店員の笑顔が失笑に見える事態。難局を逃れるため、いそいそと退店。


『トイレ! 漏れる!』


退店してから叫ぶ若。トイレを借りに再入店。失笑、ではなく笑顔で迎える店員。


『ここを逃れて、トイレに入る』


この話、無理矢理の脱出オチ

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