第151話 炊飯器

バーベキューで米を炊く南山之寿。使用するのは使い慣れていない飯盒。十中八九、焦げてしまうのがオチ。炎のゆらぎが米を旨く炊くと言うが、技量が皆無の南山之寿。焦げた米がへばりつく飯盒を洗うのが嫌だなと、米を炊くかいつも心がゆらぐ。


米を炊くなら炊飯器。様々なメーカーが、鎬を削る時代。食べ比べたところで、違いの分からない南山之寿。炊飯器は以外と長持ちしており、買い替え時すら分からない始末。


本日の対戦相手は炊飯器。時計設定がズレていて、タイマー予約に失敗。若の遠足の弁当は、急遽サンドイッチに路線変更。米を入れていないにもかかわらず入れたものだと思い込み炊飯器を稼働。開けてビックリする南山之寿。米が無いと騒ぐ、セルフ米騒動。


『ひょっとこ』


ひょっとこのモデルとなった男が、竈の火などを吹いて守る役目だったことから火男と呼ばれ、音を変えて伝わったという説。竈炊きを調べて辿り着く雑学。ひょっとして何かの役に立つかもと思ってはみたが、特に役に立たず、この場で披露。


縁日の屋台。ヒーローのお面が並ぶ中、異色を放つひょっとこのお面。誰が買うのかは謎。姫が放つ衝撃の一言。


『お父さんに似てるね!』


悪意。圧倒的な悪意。純粋さは、時に残酷な刃となることを痛感。どこが似てるのか、要素など何も無いと感じる南山之寿。


とある朝。ひげを剃る南山之寿。頬を剃りやすくしようと、口を右へ左へと尖らせながら移動。その姿を見た姫の一言。


『ひょっとこ!』


洗面所に、シェーバーの音が静かに響いていた。

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