第73話 月
『
捕らえがたいものや、実態のないものの例え。南山之寿の実態はどこにあるのかなどと、哲学的な事は言わない。実態のないものといえば仮想空間。内閣府のホームページを見ると、こんな一文。目を疑う南山之寿。
『ムーンショット目標』
2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現。
読んでいて思い出すマトリックスの世界。まだまだ、生きているはずの南山之寿。どうなるのか少しだけ気になる。実現するのか、しないのか。
今日の対戦相手は、月。どうあがいても、勝てぬサイズ感。南山之寿が着陸することは、未来永劫ない。
何年か前、土地を購入した南山之寿。ネタとして。購入場所は、月。行くことも、住むこともできない土地。本当に存在するのかも疑問。何百ヘクタールという無駄な敷地面積。望遠鏡を覗き込んでも見つからない。想像するだけで、この眼で見ることは叶わない。さながら、『雨夜の月』。
『月』という言葉で思い出すことわざ。
『Rのない月の牡蠣はよくない』
そんなことは無いと感じる南山之寿。夏に食すカキフライは旨い。流石に、夏に生牡蠣を食らう勇気は皆無。そう考えると、牡蠣はやはり冬が一番。
『冬』という言葉で思い出す、苦い経験。
冬のスキー場。スノボを初めて体験する南山之寿。何とかなるだろうと高を括り、友人と乗り込む頂上行のゴンドラ。若気の至り。
頂上で教わる、板の履き方。既にこの時点で、アウト。初心者用コースは見当たらず、上級者コースに突入。転がる南山之寿。避ける上級者。身体にダメージを負いながら、何とか中腹の初心者用コースへ帰還。
『
自分の能力は、わきまえなくてはならない。
初心者用コースを満喫するつもりの南山之寿。そんな要望は聞かんと、強制的にゴンドラに運び込まれる南山之寿。軽いトラウマに。
『月日変われば気も変わる』
あれ以来、スノボはオブジェとなっている。
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